2011 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞の移動制御の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
23111526
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
片桐 晃子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (00322157)
|
Keywords | 細胞遊走 / LFA-1 / Rap1 / Mst1 / Rab GTPase / 経血管移動 / arrest / ケモカイン |
Research Abstract |
1.免疫細胞の接着・遊走に重要なLFA-1 cluster形成はRap1-RAPL-Mst1シグナルにより、細胞内からの極性輸送によって制御されていることが示唆されている。(1)約60種類のRab family GTPasesのうち、Rab13がこの極性輸送に関与する可能性が示唆された。すなわち、その優性抑制型変異体を過剰発現させることによりLFA-1 clusterが形成されず、ICAM-1への接着・遊走が優位に低下した。(2)LFA-1 clusterが細胞内からの小胞輸送によって誘導されることを、LFA-1のα鎖細胞外領域にmRFPを細胞内領域にPH依存性の蛍光色素フローリンを融合させ、cluster形成時の両者の変化を観察することで検討し、1FA-1小胞が表面に融合することでclusterが形成されることが示唆された。(3)Rab13とLFA-1が先端膜で共局在することが明らかとなった。(4)EB3およびLifeact mcherry融合タンパク質を、Rab13-GFP導入リンパ球系細胞へ発現させ、先端膜形成時にRab13と共局在するかどうか検討したところ、Rab13はF-actinに沿って前方へ移動することが明らかになった。(5)Rab13-GTPに結合することがわかっているMICAL分子のRab13結合領域のGST融合タンパク質を作成し、pul1-down法によりケモカイン刺激10分後をピークにRab13は活性化されることが判明した。 2.リンパ球がリンパ節を再循環する際に生じる高内皮細静脈(HEV)上での接着カスケードにおけるarrestは、ケモカイン刺激によって1秒以内に生じ、血流に抵抗してリンパ球が血管内皮細胞にしっかり接着する第1ステップとして重要であるが、このステップにRap1が必須であることが明らかとなっている。LFA-1のβ2鎖の細胞内領域に変異を導入した解析より、arrestはβ2鎖の細胞内領域に結合した抑制分子が解除されることで生じることが示唆されている。この抑制分子としてfilaminの関与が明らかとなった。すなわちレンチウイルスvectorを用いたshRNA法によって、フィラミンをノックダウンした細胞を、フローチェンバー内セットした血管内皮細胞の単層上をシリンジポンプを用いて血流と同じ速度で流し、血管内皮細胞との接着反応(rolling,rapid arrest,firm adhesion)を、デジタルカメラを用いてビデオレートで撮影し、Metamorph softwareを用いて解析したところ、自発的なarrestおよびLFA-1依存性のslow rollingが認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)Rap1-RAPL Mst1によるLEA-1 cluster形成のメカニズムとして極性輸送によることを、Rab13を同定し、PH感受性蛍光色素を用いてLFA-1を標識することにより明らかにできた。また、Lifeact-mcherryを用いてF-actinが輸送に重要であることが分かり、Rab13によるLFA-1 cluster形成の分子メカニズムを解明する手がかりを得た。 2)接着カスケードにおけるarrestのステップがLFA-1のβ2鎖細胞内領域にfilamin分子が会合し不活性型となっている状態から解除されることで誘導されることが示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)Rab13によるLEA-1 cluster形成の分子機構を、アクチンケーブルを介する極性輸送に関与する分子群をターゲットに明らかにしていく予定である。またRab13 conditional knockout miceを作成中であり、すでにキメラマウスは得ている。Rab13の免疫動態における役割をIn vivoで解明する予定である。またRab13の下流標的分子として活性型に特異的に結合する分子を探索する。2)filaminとの結合によって不活性型となっているLEA-1が、ケモカイン刺激によってRap1が活性化されることで、実際に外れるのかどうかを検討する必要がある。すでに優性活性型変異体Rap1V12を導入したリンパ球細胞株では、両者の会合が低下していることが判明している。今後はマウスprimaryリンパ球を用いてfilaminのarrestにおける役割を解明していく予定である。
|