2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経形成における集団的細胞運動を支える非筋型ミオシンのダイナミクスと機能
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
23111529
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
鈴木 誠 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 助教 (10533193)
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Keywords | 神経管 / 集団的細胞運動 / ミオシン |
Research Abstract |
本研究では、ゼブラフィッシュの初期神経系(神経管)が構築される過程で起こる集団的細胞運動における非筋型ミオシンの実体と意義を明らかにすることを目的とし、細胞生物学的解析と光学顕微鏡を活用した定量解析を行った。 予備的実験で見出したミオシンの動態を定量的に解析するため、野生型又は恒常的活性化型ミオシン軽鎖のEGFP融合タンパク質の細胞内局在をスピンディスク共焦点顕微鏡で観察した。その結果、これまで着目していた細胞間接着部位での恒常活性化型ミオシンの集積の他に、細胞と細胞外基質の接着部位での野生型ミオシンの網状の集積を見出した。同様の集積はF-actinやミオシン重鎖のライブイメージングにおいても観察された。興味深いことに細胞-基質間でのミオシン、F-アクチンの集積には60-70秒の周期性があり、この周期性と収斂運動の間には関連性が見られた。次年度以降では遺伝子組換えゼブラフィッシュを作製し同様の解析を進めたい。 並行して、本研究ではミオシンの集積が神経管形成において果たす役割について検討した。この目的のためにゼブラフィッシュのミオシン調節軽鎖4遺伝子に対するモルフォリノアンチセンスオリゴを作製しノックダウン実験を行ったが、神経管形成期に起こる異所的な細胞死により詳細な解析が困難になっている。変異型ミオシン軽鎖の導入では細胞分裂の異常を抑える必要があるが、これらの条件検討は次年度も引き続き行うこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定した計画の殆どについて研究を進めることができた。完了できなかった課題については次年度での条件検討により進展を目指す。また、本研究の遂行過程で見出された周期的なアクトミオシンの動態は予期しなかったものであるが、脊椎動物の上皮性形態形成の理解に繋がる可能性が大きく、今後の発展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行過程で見出された周期的なアクトミオシンの動態は上皮性形態形成の理解に繋がる可能性が大きいため、当初予定していた細胞間接着におけるアクトミオシンの動態と共に詳細な解析を進めることとする。特に、異なるアクトミオシン動態の相互依存性、細胞動態との関連、また、細胞間でのアクトミオシン動態の同調性について着目した解析を進めたい。
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Research Products
(2 results)