2011 Fiscal Year Annual Research Report
プルキンエ細胞の秩序ある配置のための細胞と場の動的相互作用
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
23111535
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
六車 恵子 独立行政法人理化学研究所, 器官発生研究グループ, 専門職研究員 (30209978)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / 細胞移動 / in vivo imaging |
Research Abstract |
小脳プルキンエ細胞の規則正しい配列が、どのような機構によって獲得されるのかについて、細胞の「動き」の解析と「移動の場」の改変によって明らかにする事を目的としている。プルキンエ細胞の移動に関するこれまでの研究方法は、その多くがスライス培養による移動様式の解析と、遺伝子改変動物で得られた解剖学的・組織学的変化によるものであり断片的な知見に留まる。小脳は発生過程で非常に複雑な形態変化を伴うので、生体内で行われている3次元的な動きの追跡を可能とするような新たなシステムが必要と考えその立ち上げを行った。まず個体レベルでの観察として、2フォトン顕微鏡下での胎児のin vivo観察を試みた。母体は気管挿管の上、人工呼吸器を装着し、吸入麻酔で維持した。体温の保持と輸液の補給によって、母体および胎児はともに少なくとも24時間の維持が可能となり、この状態での細胞移動の経時的観察も可能となりつつある。現在、胎児の保定と水浸レンズへの水の補給を可能にするための観察チャンバーを作製中である。また、このような個体レベルでの知見と、スライス標本などのin vitroの知見を橋渡しするような系として、胎児の神経管の培養系を検討した。胎生12日目のマウス第4脳室からレポーター遺伝子を導入する事によって細胞を標識し、神経管のみを取り出し、コラーゲンゲル内で3次元培養を行った。2フォトン顕微鏡で細胞が移動する様子を観察したところ、ステップサイズ約1.2μmで250μmの深さまで24時間の経時的観察が可能であった。この系によって、計画していた「場の改変」が可能かどうかを検討している。個体レベルでの解析によってこれまで捉え切れていなかった移動様式が見出せる可能性があり、また、新たなin vitroの系によって、「場の改変」を行った時の細胞移動の変化が、生体内に近い状態で解析できる可能性が広がったと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として、「細胞の動きの解析」「移動の場の改変」「個体レベルでの解析」を掲げていたが、本年度は観察システムの立ち上げから初めているので、「移動の場の改変」についてはその進捗が若干遅れている。その代わり「個体レベルでの解析」では、母体を維持したまま胎生期動物を観察するという方法に進捗が見られ、またin vivoとin vitroの観察を橋渡しするような新たな培養系の立ち上げとその観察方法の確立においても、予定通りのレベルに達する事が出来たと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更や問題点は特にない。本年度立ち上げた新たな研究手法を用いて、「細胞の動き」を具体的に解析し、さらに、「移動の場の改変」を行った際の変化をとらえる。また、新規の方法として確立しつつある「個体レベルでの解析」の再現性を高める事に努める。
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Research Products
(7 results)