2011 Fiscal Year Annual Research Report
希土類ナノ結晶と金粒子の超格子形成と機能創発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111701
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 靖哉 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80324797)
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Keywords | ナノ材料 / 超分子化学 / 超格子 / 機能創発 / 希土類 |
Research Abstract |
金ナノ粒子は光エネルギーを吸収することにより、表面プラズモン電場増強が発生する。この電場増強が配列したEuXのスピン偏極に影響を与え、特異的な光磁気物性が期待できる。本研究「希土類ナノ結晶と金粒子の超格子形成と機能創発」を行うために、23年度はEuSナノ結晶とAuナノ粒子の複合体形成(EuS-金ナノ複合体)を行い、電場増強下における光磁気機能評価を行った。 具体的には、Au錯体を新規に合成し、オレイルアミン中で300℃にて反応をおこなうことににより、Auナノ粒子を合成した。同時にユーロピウム錯体を原料としたEuSナノ結晶を合成し、EuSナノ結晶とAuナノ粒子をヘキサンジチオールで連結した(EuS-金ナノ複合体)。その複合形状は透過型電子顕微鏡により観察した。 得られたEuS-金ナノ複合体は、金ナノ粒子のプラズモンバンドに起因する吸収帯のレッドシフトが観測された。このレッドシフトは誘電率が高いEuSが金ナノ結晶の近傍に存在することを意味している。 このEuS-金ナノ複合体をポリメタクリル酸メチルのTHF溶液に分散し、キャスト法にてEuS-金ナノ複合体を含むポリメタクリル酸メチル薄膜を調整した。得られたEuS-金ナノ複合体含有ポリマー薄膜に印可磁場150000eにおけるファラデー回転(磁場印加中の物質に偏光をあてると、その偏光面が回転する現象:ファラデー回転)がプラズモン吸収バンド領域において増大することが明らかとなった。 本研究により、EuSナノ結晶の光磁気特性(ファラデー効果)におけるプラズモン電場増強効果が初めて明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であったEuS-金ナノ複合体の合成に初めて成功した。さらに、金ナノ粒子のプラズモン電場増強によるEuSの光磁気機能向上を初めて観測することができた。よって、当初の研究計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に成功したEuS-金ナノ複合体の光磁気特性(ファラデー効果)におけるプラズモン電場増強効果について、その詳細を明らかにするために、EuSと金の距離を変化させた検討を行う。具体的には、エタンジチオールおよびドデカンジチオールを用いたEuS-金ナノ複合体を合成する。EuSと金の距離は透過型電子顕微鏡観察により評価し、ファラデー効果測定によりEuSの光磁気特性におけるプラズモン電場増強効果について評価する。
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Research Products
(4 results)