2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造規制表面におけるソフトナノリソグラフィと分子集積を利用した光機能創発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111702
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 勝佳 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50321899)
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Keywords | 自己組織化単分子膜 / 分子パターニング / 積層化 / 分子間相互作用 / 分子メモリー |
Research Abstract |
本研究では、(1)ナノ電極における特異な電気2重層構造を利用して、有機分子層をナノサイズで2次元パターニングする新規ソフトナノリソグラフィ手法の開発、(2)配位結合による機能性分子多層化技術の確立をめざし、これらトップダウン法とボトムアップ法の融合により、個々の単一分子には見られない性質が分子集合体に発現する機能創発を目的とした研究を行っている。本年度は、主に(2)の配位結合による分子積層法の検討を行った。原子レベルで平滑な金電極表面上に、積層膜の土台となるイミダゾール末端のアルカンチオール単分子膜を作成し、その上に金属ポルフィリンとピラジンを配位結合によって交互積層するこどに成功した。この結果は、様々な機能性分子を自在に組み合わせた分子集積構造を構築する技術として有用であり、分子集合体としての機能発現の設計に利用できると期待される。また、本手法によって集積した金属ポルフィリン層において、単層膜と積層膜で電気化学応答に違いが現れることを確認し、単一分子とは異なる性質が分子集合体に発現する可能性を見出した。また、(1)の2次元パターニング技術についても基礎的な検討を行い、さらに分子間相互作用に着目した機能創発の可能性についての検討を行った。電極表面に吸着した有機単分子層においては、分子間相互作用と基板-分子間相互作用のバランスを電気化学的に変えることが可能であり、その結果として単分子膜配向が変化する場合がある。外部からの電場印加によって単分子膜配向を変化させ、分子間の立体障害を利用して分子膜構造を動的に制御する試みにおいて、分子膜構造のin situ表面増強ラマン散乱測定から、分子コンダクタンスの制御に繋がる分子の平面性操作の可能性を示唆する結果を得た。これらは単一分子では発現しない機能を集合体として創発する例として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って、分子の積層膜構造を構築する手法の確立を行った。その結果、分子単体と積層構造体で異なる電気化学応答を示すことを見出し、分子の単一機能ではない集合体としての機能創発の可能性を示すことに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、電極表面2次元面内における分子パターニング技術を発展させ、分子ナノドメイン構造の作成による機能創発を目指す。これまでに、分子層上に金属ナノ粒子を吸着させることで金属ナノギャップ構造を形成し、電気化学環境下における電気2重層が大きく変調することで、有機単分子層を位置選択的に剥離できることを見出している。この技術を利用し、アゾベンゼンの単分子膜のナノドメイン化を検討する。アゾベンゼンの光誘起構造転移において、分子間の立体相互作用の影響を調べ、分子集合体において光強度に対して非線形な応答が発現するかどうかを調べる。また、分子間相互作用と基板-分子間相互作用のバランスを変えることで単分子膜配向を変えられることを利用し、分子集合体における創発的機能を外場制御することを試みる。例えば、分子間の立体障害と分子膜配向の動的制御を利用し、単分子膜のコンダクタンスを動的制御する可能性について検討する。
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Research Products
(19 results)