2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一高次ナノ構造体の電子伝導特性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111706
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木口 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70313020)
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Keywords | 単一分子伝導 / 量子化コンダクタンス |
Research Abstract |
室温、溶液中でπスタック分子の電子伝導特性を計測した。これまでの研究成果でπスタック分子の優れた電子伝導性が明らかとなっていたが、23年度はAuを内包したπスタック分子について測定を行った。実験は分子を含む1mMの水溶液中でSTM探針をAu基板に接触、破断させることを繰り返すことで行った。そして金接合破断過程における伝導度変化を計測した。その結果、分子接合が破断する際に接合の伝導度がある値の整数倍で変化する様子が観測され、単分子接合の伝導度を決定することができた。そして、金属を含まないπスタック分子と伝導度を比較することでAuを内包することで分子内の電子伝導性が飛躍的に向上することが明らかとなった。 並行して、超高真空極低温において、Au,Ag,Cu,Pt電極に架橋した窒素、ピラジン、アセチレン単分子接合について伝導度計測および振動スペクトル計測を行った。分子接合はMCBJを用いて作製したナノギャップに分子をin-situで導入することで作製した。Pt電極に架橋したピラジン分子接合の場合、電気伝導度1Goと0.2Goを示す2つの準安定構造の形成が示された。 それぞれの構造について、非弾性トンネル分光計測を行うことで、電極と分子の接合界面の異なる構造が形成されていることを明らかにした。また、電極間の距離を変えることで、2つの準安定構造の間をスイッチ出来ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではπスタック分子など単一高次ナノ構造体の電子伝導特性の解明を目的としている。昨年度は金属を内包したπスタック分子の伝導特性を解明することに成功し、また、ピラジンやエチレンなど他の単一分子の伝導特性を解明することにも成功した。以上の理由から研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後であるが、πスタック分子に限らず種々の単一高次ナノ構造体について、測定対象を広げ、単一高次ナノ構造体に特徴的な電子伝導特性の解明を目指す。
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