2011 Fiscal Year Annual Research Report
相補的な塩橋形成を利用した階層的組織化によるソフトな化学空間の構築と動的機能開発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111708
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
古荘 義雄 近畿大学, 分子工学研究所, 准教授 (00281270)
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Keywords | アミジン / カルボン酸 / 塩橋 / 二重らせん / 不斉選択性 / イミン結合 / ホウ素ヘリケート |
Research Abstract |
本研究では、相補的な塩橋を用いたインターロック化合物や二重らせん分子の集合状態を制御し、その動的な性質とゾルゲル転移などとを組み合わせて動的機能を創発し、環境の変化に動的に応答しうるソフト材料や触媒を開発することを目的としている。本年度は、主に以下の2つの項目に関して重要な結果が得られた。 1.相補的なアミジニウム-カルボキシレート塩橋からなる二重らせん分子をベースとする自己複製システムの開発を目指した研究:キラルな置換基をもつアミジン2量体をテンプレートとして用い、片末端にホルミル基をもつカルボン酸とジアミンの脱水反応によるイミン結合形成を介した二量化反応を行った。反応はテンプレートの存在下で著しく加速され、生成したカルボン酸2量体とアミジン2量体は安定な二重らせん構造を形成することが分かった。このとき、不斉炭素を持つジアミンのラセミ体を用いると、アミジン上のキラルな置換基の影響により、一方の光学異性体が優先的に反応して二重らせん構造をつくることが分かった。この反応をさらに詳細に検討した結果、ジアミンの不斉選択性はアミジン上のキラルな置換基に誘起される一方向巻の二重らせん構造が大きく寄与していることが明らかになった。 2.伸縮性二重らせんユニットをもつ超分子ポリマーの構築:申請者らが開発した鎖長が2倍強も変化して伸縮するホウ素二重らせん分子を超分子集合体やマクロスコピックな高分子材料へと展開するための基礎研究として、ホウ素二重らせん分子の両末端に両末端に種々の官能基を導入する手法を検討した。その結果、原料となるリガンドの末端にあらかじめハロゲンを導入しておき、鈴木カップリングやStilleカップリングにより効率よく種々の置換基を導入できることが分かった。また、導入位置が極めて重要であり、炭素1つ分ずらすだけでヘリケートが生成しなくなることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、アミジニウム-カルボキシレート塩橋をベースとする人工二重らせん分子および伸縮性ホウ素ヘリケートの合成部分に関する詳細な検討を行った。その結果、2つの系ともに、さらに大きな分子集合体の構築へもっていくための基礎の段階を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2つの人工二重らせん分子の系を用いて、より大きな分子集合体を構築し、動的機能の創発に迫って行く。また、これまでは低分子量のディスクリートな超分子系を中心に基礎的な部分を抑える検討を行ってきたが、次年度はポリマーにアミジン二重らせんやホウ素ヘリケートを組み込むことにより、マクロスコピックな有機材料の構築を行って行く予定である。
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Research Products
(20 results)