2011 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面における自己集合の高次階層制御
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111710
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田原 一邦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40432463)
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Keywords | 自己組織化 / 超分子化学 / 表面・界面物性 / STM |
Research Abstract |
溶液や結晶中の三次元系自己集合と比較して、固体表面での二次元自己集合の制御に関する知見は少なく、これらを階層性と機能を備えた創発的な分子集合体にまで発展させるには、多くの未知の制御因子を解明する必要がある。特に、近接分子間の相互作用の理解にとどまらない階層的な相互作用の制御とエントロピーの寄与の理解を主とした指導原理の確立が必須である。本課題では、未知の制御因子の解明を目的とした、二つの課題、(1)「エントロピーの与える配列形成への影響」の調査、(2)「分子配列を鋳型とした三次元構造の構築」に取り組んでいる。 課題(1)は二つの課題(1)と(2)にさらに細分される。(1)では、有機溶媒/グラファイト界面において六本の長鎖アルコキシ基により置換されたデヒドロベンゾ[12]アヌレン誘導体(DBA)の形成する配列について、温度の与える影響について走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて調査した。その結果、温度に依存して構造とドメインサイズが大きく変化することが明らかになった。(2)では、デシル基を有するDBAと菱形bisDBAが混合した場合に形成される配列について、有機溶媒とグラファイトの界面で調査した。その結果、それら二つの分子が乱雑に混ざり合った空孔を持った構造が形成されることを見出した。また、温度に依存した構造変化についても調べ、配列形成に与えるエントロピー的な影響について検討した。 課題(2)では、DBAのハニカム構造の空孔を鋳型として、有機配位子と金属カチオンとの配位結合を利用して三次元的に構造を拡張し、多孔性結晶やカゴ型作成を構築することを目的とする。そのため、アルキル鎖の末端に配位部位(亜鉛ポルフィリン部位)を有するDBAを新たに合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1)および(2)についてどちらも順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(1)では温度の与える配列への影響について既に明らかにした。得られた結果をもとにして次年度は半定量的な熱力学モデルによって考察を進める。そのため、海外研究協力者であるSteven De Feyter教授と密に研究を進展させる。 課題(2)では亜鉛ポルフィリン部位を持った分子の合成に成功した。次年度ではこの分子が形成する配列について調査を進める。
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Research Products
(8 results)