2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機/無機ナノ接合におけるゆらぎ特性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111713
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 亮 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20343741)
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Keywords | 分子エレクトロニクス / ノイズ |
Research Abstract |
1.温度可変型測定装置の開発 単分子接合を安定に維持すること、および、電気伝導機構の解明と熱ノイズの低減のために必要な極低温環境~室温まで温度を変化させて測定できる測定装置を開発する予定であった。 単分子接合は、あらかじめ作製しておいた電極接点を精密に破断するときに偶発的に分子が電極間に架橋することを利用して作製する。電極破断に利用する装置を設計・作製した。装置を冷却するための冷凍機および真空チャンバー内に装置を設置し、室温・真空(10^<-3>Pa)条件で装置の動作確認をおこなったところ、単原子接合が確認でき、電流測定のノイズレベルも十分に小さいことが確認できた。 冷凍機を動かしたところ、冷媒の循環部にリークがみつかり、修理のため2ヶ月を要した。その後、冷凍機により装置が10K程度まで冷却可能であることが確認できた。冷却に伴う基板および電極の熱収縮により電極接点が破断してしまうことがあり、室温で破断可能な電極接点と低温測定に必要な電極接点の作製条件が異なることが分かった。基板温度が、冷凍機先端温度(4K)よりもやや高いことから、熱接触をよりよくする必要があることが分かった。 2.有機薄膜素子における低周波ノイズの測定 ノイズの測定技術と解析技術の習得を兼ねて、有機薄膜太陽電池の低周波ノイズを測定した。有機太陽電池では、電子輸送とホール輸送を担う材料を混ぜ合わせたバルクヘテロジャンクションと呼ばれる構造が高い光電変換効率を示すことが分かっている。このような電導層における電荷輸送機構は太陽電池の特性をきめるうえで重要な要素となる。ノイズ測定から、有機半導体層内部の電荷のトラップ寿命をノイズの周波数特性の変曲点から議論可能であることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低温測定時に冷却に伴う変形などを考慮した測定用基板の最適化が必要であったこと。また予定していた冷凍機の故障などにより装置開発がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発に着手した真空・低温環境での測定装置の開発は続けるが、単分子接合がおかれた測定雰囲気の影響を調べる目的には、すでに稼働している室温ガス雰囲気での装置を利用した測定も試みる。
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