2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の“しなやかさ"を創発するプラスチック抗体の創成
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111716
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
星野 友 九州大学, 工学研究院, 助教 (40554689)
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Keywords | ナノ粒子 / ナノゲル粒子 / プラスチック抗体 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では、プラスチック抗体(高分子ナノゲル粒子)の結合・解離速度定数を制御するための基本的な設計指針を得ることを目的に実験を行った。本年度は、ナノゲル粒子の高分子密度や相転移状態がタンパク質結合・解離速度定数に与える影響を調べた。モデルタンパク質としてマンノース結合サイトを四箇所有するコンカナバリンAを選び、ナノ粒子にマンノースを付与することでコンカナバリンA結合ナノ粒子を得た。架橋剤濃度や疎水性モノマー含量を調整することで様々な高分子密度や相転移状態を有し、マンノース密度が等しい高分子ナノ粒子ライブラリーを合成し、QCM法によりコンカナバリン結合動力学解析を行った。結果、高分子密度を変化させると結合平衡定数を変化させることなく結合・解離速度定数だけを変化させられることがわかった。一方ナノ粒子の相状態を変化させると結合平衡定数を変化させられると言うことが明らかになった。 また、ナノ粒子の官能基密度と、標的分子に対する結合定数、結合容量の相関を定量し、最適化した官能気密度で合成したナノ粒子の生体内機能を解析した。結果、最適化されたナノ粒子は標的ペプチド(メリチン)を多点の静電的・疎水性相互作用で認識し強固な結合を形成できることがわかった。さらに最適化されたナノ粒子は動物体内でも標的ペプチドを認識し、結合することで毒性を中和できることがわかった。 同時に、共同研究によりナノ粒子の相転移挙動と同期して任意の酵素に対する結合・解離状態を任意にコントロール可能なナノ粒子を調整し、このナノ粒子を使うことで酵素機能を可逆的に制御できることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたとおり高分子ナノゲル粒子の高分子密度や相状態とタンパク質結合・解離定数の関係を明らかにすることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、相転移前後の結合・解離速度定数の変化の理由を明らかにすると共に、ITC等により結合に伴うエンタルピー変化を調べることを試みる。また、AFMやQCM-A法でナノ粒子の物理的性質を調べることを試みる。さらにアフィニティー精製により標的結合挙動がどの様に変化するかを調べる。
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Research Products
(11 results)