2011 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドとの複合化とRNAモチーフの創成によるモチーフ集積型RNA酵素の機能創発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111717
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 善也 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70281087)
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Keywords | リボザイム / RNA / バイオモチーフ / RNA結合ペプチド / RNAレセプター |
Research Abstract |
RNAは生体内で最も多機能な高分子であり、タンパク質との複合化により、その機能と構造はさらに高度化する。本課題では、H21-22年度の本領域での成果を基盤に、リボソーム(2009年ノーベル化学賞受賞)に代表されるRNA-蛋白質複合体(RNP)の機能構造の構築原理とその進化の実証的解明を目指す。「RNA酵素(リボザイム)」を素材とし、ペプチド・モチーフとの複合化による機能向上、および新規RNAバイオモチーフの進化的創製を行う。具体的な2課題として、課題[1]ペプチド因子の組み込みによるモジュール集積型リボザイムの高機能化、課題[2]モジュール集積型リボザイムを用いた新規RNAバイオモチーフの進化工学による創成、を並行して実施した。 H23年度は、課題[1]について、計画に従い、コンピュータモデリングによる分子設計と、ペプチド因子の化学合成、リボザイムRNAの合成を行い、リボザイムのターンオーバー活性に対するペプチド因子の添加効果を検討した。その結果、ターンオーバーの促進効果は見られたが、その効果は予想よりかなり低く、分子設計通りの機構による効果か、非特異的な効果か、の判別が困難であった。 課題[2]について、GAACループを認識する新規RNAバイオモチーフの創製を完了し、その機能解析を進めた。その結果、新規バイオモチーフは、既存のGNRA型ループとそのレセプターモチーフに匹敵する分子認識能力(結合の強さと選択性の高さ)で、相互作用を行う事を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の実験に関しては、当初の予想通りのペースで遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
[課題1]については、ペプチド因子の添加効果が計画で予想(期待)した能力よりかなり劣っているため、分子デザインの不備を含めて、その原因の検討が必要であると思われる、従って当初の予定にない検討項目が2年目に加わるため、進度がやや遅れる可能性がある、[課題2]については、当初予定通り遂行する。
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