2011 Fiscal Year Annual Research Report
錯体キラリティーを基盤とした動的らせん型分子の構築と機能創発
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111718
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三宅 弘之 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00271198)
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Keywords | 超分子化学 / 自己集積化 / 分子スイッチング / 不斉 / 分子認識 / ダイナミクス / 外部刺激 / 情報伝達 |
Research Abstract |
金属錯体は配位立体化学に基づく特異なレドックス活性や分光学的特性を持ち、柔軟に脱着可能な配位結合を自在に制御できれば、分子認識に基づく、プログラムされた組織化と動的情報変換が期待される。本新学術領域研究では、分子内の弱い相互作用により特定のらせん構造を形成することのできるアミノ酸誘導体を配位子として活用し、置換活性な金属イオンとの錯体形成により新たに構築されるらせん型錯体分子を基盤として、生体系で見られるような外部刺激による超分子レベルでの動的なキラル情報変換系の創発を目指している。 研究代表者が独自に開発したらせん型の置換活性遷移金属錯体は、外部刺激に応答した分子運動が可能である。平成23年度は以下の成果を得た。 (1)らせん分子の伸縮運動と機能創発 分子内水素結合によりコンパクトな折れたたみ構造をもつキラル配位子を天然アミノ酸から誘導して合成した。これらの配位子を用いて、金属錯体化と解離、酸・塩基反応による配位結合の異性化、さらには金属イオンに特異な幾何構造の変換を活用して、らせんピッチの自在変換が可能ならせん型分子を構築できた。 (2)多核錯体の形成によるキラリティーの集積化と動的変換 金属錯体化による集積化を活用して、新たなキラリティーを創出できるキラル配位子を設計、合成した。キラル錯体が集積化した多核キラル錯体では、外部刺激に応答した新しいキラリティー変換系の構築を確認した。 (3)フォトクロミズムを活用した錯体ヘリシティー変換システムの構築 配位ユニットの末端に光異性化ユニット(アゾベンゼン)を導入した。光異性化(trans〓cis)運動を金属中心へ伝達し、らせん情報の変換・増幅およびその速度制御が可能であることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属錯体を用いたキラル分子の構築と、動的ならせん構造の変換を目指し、種々の配位子を設計・合成することができた。いずれのキラル錯体においても外部刺激による動的な構造変換が可能であることを確認し、研究計画に沿った具体的な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
動的らせん分子の構築と外部刺激による機能創発に関する研究をさらに推進するため、 (1)錯体らせん分子のマルチ分子運動とキラリティー変換 (2)錯体ヘリシティーの集積化によるナノレベルでのキラリティー創発と動的変換 (3)光異性化を活用した錯体ヘリシティーの動的変換と機能創発 について焦点を当て、さらに多方面からのアプローチを行い、強力に推進する。
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Research Products
(8 results)