2011 Fiscal Year Annual Research Report
異方性超分子微粒子のヘキサゴナルアレイ創製と応用
Publicly Offered Research
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
23111723
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中西 尚志 独立行政法人物質・材料研究機構, 高分子材料ユニット, 主幹研究員 (40391221)
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Keywords | 自己組織化 / 非平衡 / 界面 / フラーレン / 複眼構造 / 電磁波 / 構造解析 / 微粒子 |
Research Abstract |
本研究では、有機分子の分子レベルで起こる自己組織化をバルクサイズ(実際にはミリメートルを超える)の組織材料として扱えるまで発展させる技術開発が主な目的となる。分子自己組織化で良く見られるスケール範囲は、ナノメートルからマイクロメートルであり、ナノ~マイクロをつなぐ組織体形成のメカニズムの理解が現状のサイエンスにおける議論対象となっている。 一方、本実施研究者は、分子自己組織化環境を溶液中に限定せず、水/有機溶媒/気相の三相界面に着眼し、非平衡条件下における分子自己組織化現象を利用することで、異方的かつミリメートルを超えるマイクロ微粒子の組織膜形成を見出した。個々のマイクロ微粒子は、多層二分子膜がユニット組織構造となり、水/有機溶媒界面からの核形成、溶媒対流等の効果により、水面を平面、有機相側に微粒子が半球形状で成長した組織構造体であることを、種々界面でのその場解析、得られた構造体の電子顕微鏡やX線回折手法などの多角的解析により明らかにすることに成功した。得られた微粒子組織構造は、昆虫の複眼構造と類似の形状、サイズである。従って、複眼構造特有の無反射機能(逆から光入射に関しては高効率光透過)などを参考に、構造曲来の機能発現が期待できることとなる。H23年度は、組織構造の広面積化に最も注力した。これまでは1x1平方mm程度に留まっていた均一複眼構造ドメインの形成であったが、種々サンプル作成条件を検討した結果、溶媒にベンゼン、溶液濃度3.OmM、展開量約150マイクロリットルとし、20℃一定、暗所、静置条件下において、3x3平方mm程度までの拡張に成功した。この面積が確保できたことで、種々の電磁波吸収材料としての特性評価を行えると期待している(H24年度の課題)。 また、分子自己組織化的に階層的マイクロ微粒子や薄膜の創製、その光・電子機能等の応用技術に向けたアプローチも行い、数報の論文としてまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複眼類似構造を分子の自己組織化のみで達成する技術の確立に至った。さらにサイズアップにもH23年度中に達成できており、次年度の構造機能解析を行うのに十分な大きさの材料提供までが整った状況にある。また、非平衡界面で起こる自己組織化現象に関しても、概ねのメカニズム理解までできており、これまでに過去に提唱のない特異な自己組織化構造体の作成技術を提供できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
気/液界面において最終的に得られる複眼構造組織膜を如何にダメージなく基板上へ固定化するか、親水、疎水等の基板表面の選択など、固体化技術の確立が必要である。その後、様々な電磁波吸収材料としての機能評価へ移行する。ターゲットとするのは、ラマン、赤外、THz領域の電磁波吸収機能の評価を、構造そのものではなく金属薄膜へと転写後に評価する。金属転写としてはスパッタ、無電界メッキ技術を考えており、既にいくつかの金属薄膜転写に成功している。
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