2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん組織における高-中酸素分圧下での新規HIF活性化メカニズムの機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
23112505
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 毅治 東京大学, 医科学研究所, 助教 (70511418)
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Keywords | がん / マクロファージ / HIF / 転移 / 低酸素 |
Research Abstract |
がん組織は正常組織と接する比較的酸素分圧の高い領域から腫瘍内部の壊死領域のような激しい低酸素の領域まで幅広い酸素分圧を呈す特異な微小環境にある。細胞の酸素分圧センサーとして低酸素応答性転写因子HIFがあり、がん組織で重要な役割を果たしていることが知られているが、高-中酸素分圧下での活性制御については不明である。そこで本研究では高-中酸素分圧下でのHIF活性因子Mint3のがん組織での役割を解明することで、がん組織内の高-中酸素分圧下におけるHIFの活性化がどのようにがん細胞やがん間質細胞の機能を制御しがんの悪性化に影響するかを明らかにする。 H23年度では、がん間質におけるMint3の役割を解明するため、Mint3欠損マウスへの腫瘍移植実験を行った。その結果、間質のMint3ががんの転移を制御していることが明らかとなった。また、間質の中でも特にマクロファージにおけるMint3ががん転移に影響を及ぼしていることが明らかとなった。発がんモデルマウスを用いた解析では、Mint3欠損マウスと発がんモデルマウスとの交配も完了し、解析に着手した。 また、Mint3自身の制御機構を解析した結果、Mint3が特定のシグナルカスケードの下流で制御されていることが明らかとなった。特定されたシグナルカスケードはがん組織で活性化していることから、腫瘍組織ではMint3によるHIF活性化が促進されていることが明らかとなった。また、Mint3結合分子の探索を行い、Mint3の機能を制御する分子Aを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初期に様々なアプローチを試み、その後うまく進んだ研究へと選択、集中を行う、という研究計画を立てていたため、研究全体としては順調に目標を達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度の研究が順調に進んだため計画全体に大きな変更は必要としないが、当初の予定通り研究計画の後半ではうまく進んでいる研究へと選択、集中を行うことで、研究計画の速やかな目標達成を目指す。
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