2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞特異的に発現する受容体型チロシンホスファターゼによる腫瘍血管新生制御
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
23112509
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
的崎 尚 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80252782)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 蛋白質 / 癌 / 血管 |
Research Abstract |
研究代表者は、受容体型チロシンホスファターゼVE-PTPが血管内皮細胞に特異的に発現し、血流により生じる力学的な刺激であるシェアストレス(SS)により、VE-PTPの局在が制御されると共に、SSによる血管内皮細胞の多様な機能制御に関与する可能性を見出している。本研究では、VE-PTPの生理機能とその作用機構の解析を行うことにより、腫瘍血管新生の新たな制御メカニズムを明らかにすると共に、VE-PTPを利用した新規のがん治療法の開発を目的とする。今年度の成果を、以下に列記する。 (1)VE-PTPの生理機能の解明と腫瘍血管新生における役割については、VE-PTPがSSにより、血管内皮細胞の下流に移動・局在する機構につき解析を行い、細胞骨格系やRabの関与が示唆された。また、VE-PTPがSSによる細胞接着斑におけるチロシンリン酸化レベルの制御に関与する可能性を見出した。VE-PTP-floxマウスと血管内皮細胞特異的にCre-ER^<T2>リコンビナーゼを発現するマウスとの交配をすすめ、血管内皮細胞特異的/時間依存的なVE-PTPの遺伝子破壊マウスを作製中である。また、B16メラノーマ細胞やLewis肺がん細胞などのがん細胞のゼノグラフトモデルにおける、VE-PTP抗体の効果の検討を開始している。 (2)VE-PTPシグナル伝達経路の解析に関して、VE-PTPの細胞内C末端領域のチロシンリン酸化の意義につき解析をし、VE-PTPの強制発現による細胞形態の制御におけるVE-PTPの細胞内C末端領域チロシンリン酸化の重要性を明らかにした。また、VE-PTPのチロシン脱リン酸化基質を同定するために、SSを加えたVE-PTPノックダウン培養血管内皮細胞とコントロール細胞より調製した細胞ライセートからMass解析を行ない、得られたVE-PTPの基質候補分子を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、VE-PTPの生理機能とその作用機構の解析が順調に進行しており、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した遺伝子変異マウスの解析をさらに行うことにより、VE-PTPの腫瘍血管新生における役割についての研究を行う。また、VE-PTPのチロシン脱リン酸化基質やリガンド候補分子の生化学的解析を行い、腫瘍血管新生における病態的意義を解明する予定である。
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