2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄内遊離癌細胞の転移形成能を左右するマイクロRNAの研究
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
23112514
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 秀始 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (10280736)
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Keywords | マイクロRNA / ITC / 転移 / 消化器癌 |
Research Abstract |
従来、白血病とは異なり、固形癌では末梢血や骨髄中に癌細胞が存在することは稀であり、仮に検出されても偶発的に固形病巣から零れ落ちてきたものと看做されていた。1981年、乳癌で初めて遊離癌細胞(ITC;Isolated Tumor Cells)が報告され、それ以後我々を含めた内外の研究者が固形癌患者に於けるITCの存在とその病理的意義を示した。ITCは主に骨髄の場において生物学的な活性が段階的に修飾され、転移しない良性ITCから転移能を獲得した悪性ITCに変化することが明らかとなった。その過程においては宿主ニッチ・微小環境(筋線維芽細胞・骨芽細胞・食細胞)からのサイトカイン等の刺激によりITCの悪性化に際してエピジェネティックな修飾が蓄積され、5-6個の内因性マイクロRNA発現に特徴ある変化が現れる。さらに細胞治療学的な手法により、特殊な配列を有する人工合成マイクロRNAを細胞に導入することにより細胞形質を大きく変換できる技術を整備した。【骨子】消化器癌の転移を左右する骨髄内遊離癌細胞のマイクロRNAを解明し、癌転移の早期診断および介入創薬に向けて、未来型医療の基盤を構築した。 【結果】本年度は当初の計画に基づいて、消化器癌患者の骨髄細胞につき、倫理委員会等の必要手続きを申請および承認を得た後に採取を実施し、高感度細胞分離装置で解析した。その結果、転移を有する患者とない患者のCD45(-)EpiCAM(+)の骨髄内上皮細胞を比較して特徴的なマイクロRNA分子が発現していることを明らかにした。現在知的財産整備と、産学連携での創薬準備に着手するとともにメカニズム解析を進めている。【考察】消化器癌患者の骨髄では、発現マイクロRNA分子種が上皮系パターンに偏倚していた。興味深い事に、造血系の細胞でも上皮系マイクロRNAを介した細胞の上皮化現象が行われており、この現象が原発巣の消化器癌からのケモカインおよび血中マイクロRNAによる遠隔効果である可能性が推測された。引き続き解明を急いでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
消化器癌患者の骨髄サンプル集積、骨髄中のマイクロRNAの抽出等、順調に推移した。マイクロRNA標的の絞り込みが終了し、消化器癌患者の骨髄細胞に於ける新たな知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
消化器癌患者の骨髄細胞に於ける形質変化は、新規の診断および治療のシーズとなる可能性を秘めており、開発研究を着実に推進する。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] MicroRNA-125a-5p is an independent prognostic factor in gastric cancer, and inhibits the proliferation of human gastric cancer cells in combination with trastuzumab2011
Author(s)
Nishida N, Mimori K, Fabbri M, Yokobori T, Sudo T, Tanaka F, Shibata K, Ishii H, Doki Y, Mori M
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Journal Title
Clin Cancer Res
Volume: 1;17
Pages: 2725-2733
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The significance of PITX2 overexpression in human colorectal cancer2011
Author(s)
Hirose H., Ishii H., Mimori K., Tanaka F., Takemasa I., Mizushima T., Ikeda M., Yamamoto H., Sekimoto Doki, Y., Mori, M.
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Journal Title
Ann Sure Oncol
Volume: 18
Pages: 3005-3012
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Significance of Lgr5(+ve) Cancer Stem Cells in the Colon and Rectum2011
Author(s)
Takahashi H, Ishii H, Nishida N, Takemasa I, Mizushima T, Ikeda M, Yokobori T, Mimori K, Yamamoto H, Sekimoto M, Doki Y, Mori M
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Journal Title
Ann Surg Oncol
Volume: 18
Pages: 1166-1174
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 肝細胞癌の再発・転移を制御するmicroRNAの探索2011
Author(s)
友國晃, 三森功士, 和田浩志, 小林省吾, 丸橋繁, 江口英利, 種村匡弘, 石井秀始, 永野浩昭, 土岐祐一郎, 森正樹
Organizer
第21回日本サイトメトリー学会学術集会
Place of Presentation
京都市国際交流会館(京都府)
Year and Date
2011-06-25
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[Presentation] 転移性大腸癌患者における骨髄中細胞の分画分析2011
Author(s)
山下晋也, 石井秀始, 山本浩文, 三森功士, 友國晃, 西田尚弘, 原口直紹, 西村潤一, 竹政伊知郎, 水島恒和, 池田正孝, 関本貢嗣, 土岐祐一郎, 森正樹
Organizer
第21回日本サイトメトリー学会学術集会
Place of Presentation
京都市国際交流会館(京都府)
Year and Date
2011-06-25