2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌微小環境形成におけるサイトグロビン陽性あるいは陰性筋繊維芽細胞の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
23112518
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
河田 則文 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30271191)
|
Keywords | サイトグロビン / 肝硬変 / 肝癌 / 線維芽細胞 / 動物モデル |
Research Abstract |
肝星細胞は慢性肝障害時には"活性化"されて筋線維芽細胞(myofibroblast,MFB)へと変化し、コラーゲンなどの細胞外マトリックス物質やtransforming growth factor-β(TGF-β)を主とする成長因子を産生しながら肝の線維化や硬変化に関与する。肝癌は線維化肝組織から発生するため、MFBが肝癌の発生や発育に対して至適な微小環境を提供する可能性がある。研究者らは星細胞由来MFBがガス結合蛋白サイトグロビン(cytoglobin,Cygb)を発現することを発見し、Cygb陰性MFBとの間で機能の差異があることを観察してきた。最近Cygb欠損(Cygb^<-/->)マウスを作製してジエチルニトロサミンを用いた肝発癌実験を行い、Cygbチマウスは野生型に比較して易癌化することを見出した。この際、Cygb^<-/->マウスの間質では強い線維化反応が生じ、線維化ならびに炎症に関与する遺伝子発現が高発現していた。これらの研究結果はMFBには多型があり、がんの間質を構成するMFB固有の細胞特性を解明すること、及び、MFBの持つCygb依存性酸素センサー機能ががんの間質を理解する上で極めて重要であることを示唆する。Cygb^<-/->マウスに関して公開特許1件、出願中特許1件がある。研究により得られた成果は、学会や論文を通じて発表し、ホームページ上で公開して常に更新する。また、知的財産の取得を積極的に行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作出したCygbノックアウトマウスを用いてその易発がん性を世界で初めて見出し、Am J Patholに出版することができた。さらに研究は継続しておこない、さらなる新しい知見を見出している。
|
Strategy for Future Research Activity |
Cygbノックアウトマウスを用いてジエチルニトロサミンという発癌剤での腫瘍形成について検討したが、よりヒトの病気に近いモデルでの検討を進める予定である。また、ヒトの肝癌組織におけるサイトグロビン発現の様態や、遺伝子変異についてもデータを得られつつあり、さらに研究を継続する予定である。
|