2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖細胞の雄性分化を制御するRNA分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
23112707
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 敦 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (60467058)
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Keywords | 生殖細胞 / RNA |
Research Abstract |
マウスNANOS2はCCHC型のzinc finger motifを連続して2つ持つRNA結合タンパク質であり、特定のRNA上にCCR4-NOT脱アデニル化酵素複合体をリクルートすることによってそのRNAを分解へと誘導すると考えられている。しかしながら、NANOS2のzinc finger motifはin vitroにおいてRNAと非特異的に結合することが明らかになっており、そのため、RNA結合特異性を決定する他の因子と協調することが考えられた。そこで、FLAGタグを付与したNANOS2をNanos2のエンハンサーの下流で発現するトランスジェニックマウスを利用し、FLAG抗体でFLAG-NANOS2を免疫沈降によって回収し、共沈殿するタンパク質をSDS-PAGEで分離した後に質量分析装置によって解析した。その結果、多くのNANOS2結合タンパク質候補が同定され、その中にDead end1(DND1)が存在した。DND1はRNA recognition motifを持つRNA結合タンパク質であり、移動期の始原生殖細胞の発生に必須であることが明らかになっている為、これがNANOS2のRNA結合特異性を決定する因子である可能性が高いと考えられる。そこで、まず、両者の結合の様式を培養細胞への強制発現系で解析したところ、DND1とNANOS2はCCR4-NOT脱アデニル化酵素複合体やRNAに非依存的に結合することが明らかになった。次に、バクテリアで発現させたリコンビナント・タンパク質の計で解析したところ、両者は結合することを示した為、この結合が直接の結合であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標はNANOS2に結合するタンパク質を同定し、その中からNANOS2のRNA結合特異性を決定する因子を選び出し、両者の結合様式を同定することであった。おおむねその目標は達成出来たと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の目標は、1)DND1とNANOS2が同じRNAに結合するかどうかを確かめること、また、2)両者の結合の生理的意義を解析することである。そのために、まず、DND1を免疫沈降した時に共沈殿するRNAの中にNANOS2結合RNAが含まれるかを解析し、さらに、Dnd1を欠損したオスの胎児期生殖細胞がNANOS2欠損生殖細胞と同様の表現型を示すかについて解析する予定である。
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