2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質スプライシングを受けるHAC1 mRNAは品質管理機構をどう回避するか-2
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
23112708
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (60212312)
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Keywords | mRNA / 品質管理 / 小胞体ストレス / Non-sense mediated decay / No-go decay / HAC1 / tRNA ligase / 出芽酵母 |
Research Abstract |
細胞を構成する様々な生体高分子を正確に合成することは生命の維持に必須であり、こうした生体高分子の「品質管理システム」の存在が近年明らかとなってきた。mRNAについては、成熟化過程で生じうる異常mRNAを排除するために、未成熟終止コドンを持つmRNAを排除するNMDや、リボゾームがmRNA上で停滞した際にこれを排除するNGDなどの品質管理機構が存在する。他方、一部のタンパク質の合成時に翻訳が一時停止することで、発現制御、局在化等を達成する例が知られている。 酵母のHAC1^u mRNAは通常翻訳停止状態でポリソーム上にあり、見かけ上、上記NGDの基質だが、我々は、実際にはDom34等で不安定化はされない、即ち、NGDを回避していることを昨年度明らかにした。一方、HAC1^u mRNAは、約700ntという酵母にしては異常に長い3'-UTRを持ち、NMDの基質となり得る。そこで、本年度はHAC1^u mRNAがNMDを回避しているかを検討した。(1)定量PCRやNorthern解析により、HAC1^u mRNAの現存量はNMDの必須因子Upf1の欠失株などで変わらない、(2)5'-UTRに変異を導入して、NMDに必要である翻訳が常に可能になる編にHAC1^u mRNAにおいてもupf1Δの効果は見られない、(3)2ndエキソンの後にGFP遺伝子を繋いでmRNAを延伸しても不安定化しないこと等から、本mRNAがNMDも回避することを明らかにした。他方、HAC1翻訳制御の解析では、小胞体ストレス非存在下でHAC1^u mRNAの翻訳が進行する変異の取得を進めている。このためにHAC1 ORFの大部分をHIS3と置換したレポーターを構築し、この遺伝子を持つ株が小胞体ストレス依存にHis+となることを確認した。これを用い、非ストレス下でHis+となる変異株を多数取得し、現在、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H23年度は研究を進める大学院生を新たに確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のマンパワーの不足状況はすぐに改善されない見込みであり、自身での研究遂行のための努力をする。また、H24年度ではHAC1^u mRNAのNGDに関するin vitro系の確立を目指しているが、所属研究室内で別に進行しているプロジェクトからの情報を有効に利用して、省力的な解析をめざす。また、同じくH24年度に計画しているNGD・NMD回避因子の遺伝学的探索においても、今年度開発したレポーター系を有効に利用して、変異の効率的検出を目指す。
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Research Products
(7 results)