2011 Fiscal Year Annual Research Report
ALSの病態解明に向けたRNA結合蛋白質TDP-43及びFUSの網羅的機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
23112712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 行郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (80542563)
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Keywords | 脳神経疾患 / RNA / 筋萎縮性側索硬化症 / 痴呆 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では、ALSの病態と深く関連する二つのRNA結合蛋白質TDP-43とFUSそれぞれが持つRNA制御機能全体と、連携して果たす機能についての分子基盤情報を構築し、ALS病態の統合的解明へ役立てることを目的として研究を開始した。その結果、本年度は、下記のような成果を得た。すなわち、タグ付きのTDP-43及びFUSの二重安定発現細胞株を樹立した。この細胞を大量培養し、PAR-CLIP法を用いた免疫沈降法により、TDP-43およびFUSそれぞれに結合するRNA断片を回収した。また超大量培養後に両者に対する二重免疫沈降も行い、TDP-43/FUS複合体に結合するRNA断片も回収できるようになった。PAR-CLIP法は、微量なRNA断片をターゲットとするため、UVクロスリンクの強度、酵素中に含まれる微量な外因性RNAの混入、リンカーの精製精度など、樹立中様々な困難に直面したが、すべてを解決し安定的にライブラリーが構築できるようになった。その後、これらのRNA断片を用いてcDNAライブラリーを構築し、TAクローニング法により品質に問題がないことを確認した。現在、次世代シーケンサを用いたdeep sequenceを開始したところであり、来年度はその結果をもとに、両蛋白質に結合する転写産物の種類や数、結合部位、さらにはTからCへの置換部位を抽出することによって、それぞれの蛋白質が認識する配列を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAR-CLIP法を用いたTDP-43及びFUSに結合するRNA断片の安定的な回収法の樹立に時間を要したが、この手法の樹立には時間がかかることをあらかじめ想定していた。現在は、シーケンスという次の段階に移行しており、ほぼ順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はdeep sequenceによって得られた結果をもとに、TDP-43及びFUSそれぞれに結合する転写産物の種類や数、結合部位、さらにはTからCへの置換部位を抽出することによって、それぞれの蛋白質が認識する配列を解析する予定である。さらにこれらの分子基盤情報をもとに、スプライシング部位近傍に結合していないかどうか、非翻訳領域のどの位置に結合しているかといった二次解析を行い、TDP-43とFUSそれぞれがどのようなRNA制御に関与するのか、その機能を予測する。更には、幾つかのターゲットを抽出して実験的検証を行う。
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Research Products
(3 results)