2011 Fiscal Year Annual Research Report
U2AF複合体によるイントロン認識機構の構造生物学的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
23112717
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
尾林 栄治 島根大学, 医学部, 助教 (50321740)
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Keywords | RNA / スプライシング / 立体構造解析 |
Research Abstract |
高等生物のDNAは、タンパク質として翻訳される部分(エキソン)だけでなく翻訳されない部分(イントロン)を含んでいる。イントロンはRNA転写後に取り除かれ、その反応はスプライシングと呼ばれている。その取り除きに関しては厳密な正確さが要求され、取り除く部位が一塩基でもずれると、病気・疾患の原因となる。そのため、その機構の解明は、人を含む高等生物の基本的な生命現象を理解する上で非常に重要であるだけでなく、スプライシング異常による疾患である地中海性貧血や筋ジストロフィー、メンケス病に対する治療薬開発の足がかりになると期待される。この役割を担うのがスプライソソーム複合体であるが、中でも、イントロンの認識に重要な役割を果たすのが、SF1/BBP及びU2AFタンパク質である。このSF1/BBPとU2AFがどのようにイントロンを認識しているのか、また他のタンパク質と共同してどのようにイントロンの取り除きを制御しているのかを、その立体構造から明らかにしようというのが本研究の目的である。本研究では、SF1/BBPとU2AFを複合体として調製することに成功したが、その複合体は非常に不安定で凝集しやすく、種々の測定に用いるのが困難なことを確認した。そこでまず、イントロン認識に特に重要なU2AF小サブユニットの立体構造解析を行ない、イントロン認識に重要な部位の特定を行なうことにした。その結果、U2AF小サブユニットの精製及び結晶化に成功した。今後は、この結晶を用いて構造解析を進めていく。本研究ではさらに、U2AFがどの部位でRNAを認識・結合しているのかをNMR法により知ることを目指し、理化学研究所の武藤博士と共同研究を進めている。現在、NMR用のタンパク質試料の最適化を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イントロン認識に特に重要なU2AF小サブユニットの精製・結晶化に成功し、その構造解析が今後迅速に行なわれることが期待される。しかし、当初予定していたSF1-U2AF複合体とイントロンRNA結合型での構造解析にはまだ時間を要することが予想されるが、その面はNMRを用いた手法で補うことが期待できる。これらをふまえると、本研究の現在までの達成度は(2)が妥当であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られたU2AF小サブユニットの結晶を用いて、その立体構造解析を行う。またNMR法を用いて、実際にイントロンRNAに結合する部位を同定する。NMRに用いるタンパク質試料及びRNA試料の最適化を進めたい。立体構造解明後は、構造を基にした機能解析を進めていく。具体的には、明らかになった構造中、重要と思われるアミノ酸残基を、分裂酵母の遺伝子中において部位特異的に置換して、スプライシング反応における影響を調べる。しかし、分裂酵母を用いてスプライシング反応を観察する手法は未だ確立されておらず、分裂酵母ではなくヒトの細胞を使うなど、様々な手法を試していきたい。さらに、実際にタンパク質変異体や配列置換したRNAを調製し、タンパク質間及びタンパク質-RNA間の結合能を調べていく予定である。
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Research Products
(1 results)