2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内品質管理ネットワークにおけるmRNA-小胞体間での品質管理連携機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Diversity and asymmetry achieved by RNA program |
Project/Area Number |
23112721
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
榊 建二郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70509968)
|
Keywords | 小胞体 / 小胞体ストレス / 品質管理機構 |
Research Abstract |
小胞体は真核生物における分泌系蛋白質の生合成の場であり、分子シャペロンを介したフォールディング状態の適格性を監査するシステムとして小胞体品質管理が存在する。小胞体品質管理機構は、構造異常蛋白質の発生及び蓄積に対しては、少胞体関連蛋白質分解(ERAD)や小胞体ストレス応答(UPR)、オートファジーを介した小胞体の大規模分解などの防御システムを用いることにより、小胞体機能の恒常性を維持し、異常蛋白質の蓄積に起因する小胞体ストレスから細胞を守っている。また、小胞体品質管理機構は、分泌系組織の発生過程や糖尿病・神経変性疾患等の発症機構における重要性が明らかにされており、その全容解明が期待されている。我々は最近の研究から、mRNA品質管理機構であるnonsense-mediated RNA decay(NMD)が小胞体品質管理において重要な役割を果たしていることを発見し、それぞれの品質管理機構を結ぶ相互制御機構について解析を進めている。本年度に行った研究よりSMG6およびUPF3Bについては一部が小胞体局在を示すことを明らかにした。また、NMD制御因子複合体の形成は小胞体ストレスの影響を受けない一方で、SMG6遺伝子の発現量が上昇することが見出した。さらに、一部のエキソリボヌクレアーゼ複合体の構成因子については、小胞体ストレス応答経路の一つである、eIF2alphaリン酸化経路への依存的に、発現が制御されていることが示した。以上の結果を踏まえ、NMDが小胞体品質管理において重要な働きをしていることを結論付けた。さらに線虫C.elegansを用いた遺伝学的解析からNMD不全誘発型小胞体ストレスに対する抑制変異株も取得及びサプレッサー遺伝子の同定を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小胞体品質管理とRNA品質管理の相互制御機構の存在を、線虫C.elegansにおける遺伝学的解析に始まり、哺乳動物細胞における普遍性について明らかにし、論文発表を行うに至った点については、一定の評価ができる。今後はサプレッサー遺伝子の同定などのメカニズムの解明に向けた解析に、より一層の努力をする。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、NMD制御因子群と小胞体品質管理因子との間の相互作用について、生化学的解析および遺伝学的解析を軸に解析を行い、その実態を明らかにして行きたい。
|
Research Products
(2 results)