2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光色素を利用したイオンチャネルの開閉機構の可視化
Publicly Offered Research
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
23113519
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平野 美奈子 独立行政法人理化学研究所, 細胞動態計測研究グループ, 研究員 (80585167)
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Keywords | イオンチャネル / 蛍光色素 / 全反射顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、チャネルの開閉機構を明らかにするため、蛍光色素の特性を利用してイオンチャネルの構造変化を可視化し、チャネル開閉に伴う構造変化と機能変化を同時に計測することを目的としている。本年度は、カリウムチャネルの一つであるKcsAチャネルの細胞内ドメインの構造変化を、1分子、実時間でチャネル活性計測と同時に測定することを目標とした。KcsAチャネルの細胞内ドメインの構造変化は、標識した蛍光色素の蛍光強度の変化で捉えることができることは、以前巨視的な系で確認済みであった。しかしながら、1分子レベルでの確認は行っていなかった。そのため、同時計測を行う前に、まず、1分子レベルでの構造変化を蛍光色素を用いて調べた。蛍光標識したKcsAチャネルをリポソームに組み込み、そのリポソームをアビジン-ビオチン系を介してカバーガラスに固定した。その後、全反射顕微鏡を用いて、1分子レベルで蛍光色素を蛍光の輝点として捉え、KcsAチャネルの活性化条件下と不活性化条件下で、その蛍光強度変化を測定した。その結果、pH4では安定した蛍光強度を示す一方、pH7では明滅を繰り返している輝点が観察された。これより、KcsAは、活性化条件下では安定した構造状態をとっている一方、不活性化条件下では頻繁に構造状態が変化していることが示唆された。しかしながら、そのような傾向を示さない輝点も存在し、正確にデータが取れているとは言い難い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度中にKcsAチャネルの構造変化と機能変化の同時計測を行う予定だったが、その前段階の構造変化のみのデータしか取れておらず、そのデータもまだ正確性に欠けるため。
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Strategy for Future Research Activity |
1分子レベルで、KcsAチャネルの構造変化を蛍光強度の変化として正確に捉えることができたとは言い難い。正確に測定できてない原因として、リポソームの固定の仕方が適切ではないことが考えられる。固定の方法の検討を行う一方、蛍光強度ではなくFRET法で構造変化を捉える方法の確立も行う。1分子レベルでの構造状態の情報を得た後、活性変化との同時計測を行う。
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Research Products
(6 results)