2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化と抑制性マイクロクラスターの分子イメージング解析
Publicly Offered Research
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
23113521
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横須賀 忠 独立行政法人理化学研究所, 免疫シグナル研究グループ, 上級研究員 (10359599)
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Keywords | 抗原認識 / リンパ球 / バイオイメージング / 受容体・細胞内シグナル伝達 / 獲得免疫 |
Research Abstract |
T細胞の活性化は、T細胞と抗原提示細胞との接着面に形成される「免疫シナプス」で行われる。免疫シナプスは更に、数十個のT細胞受容体(TCR)とその下流のシグナル伝達分子が集合した「TCRマイクロクラスター」から構成され、マイクロクラスターはT細胞活性化の最小ユニットとしてT細胞の活性化を制御している(Nat.Immunol.2005)。T細胞には過剰な免疫応答を回避するための抑制機構も存在し、負の補助刺激受容体(Immunity 2008, 2010)や、フォスファターゼによる脱リン酸化、ユビキチンリガーゼによるタンパク分解などが知られている。今年度の当研究課題において、研究代表者は、抗原提示細胞を疑似化した人工脂質二重膜(プレイナーメンブレン法)を用いた、E3ユビキチンリガーゼc-CblおよびCbl-b分子のイメージング解析のための実験系を樹立し、c-CblおよびCbl-bがTCR刺激を契機にクラスターを形成し、TCRマイクロクラスターへと集積することを明らかにした。Cbl-bはc-CblよりもTCRマイクロクラスターへの停滞時間が長く、T細胞活性化後期には、TCRと共に免疫シナプスの中心部に蓄積したが、これはCbl-bのプロリンリッチドメインの働きであった。また、c-CblおよびCbl-bのエフェクター分子であるユビキチンも、TCRマイクロクラスターに凝集することが明らかとなり、末梢T細胞におけるユビキチンのクラスター形成は、c-CblよりもCbl-bに寄与していた。このことから、c-CblおよびCbl-bによるユビキチン化を介したT細胞受容体シグナル伝達の制御は、TCRマイクロクラスターにおいて行われていることが明らかとなり、また、TCRのインターナリゼーションもTCRマイクロクラスターを「場」として行われていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでTCRマイクロクラスターの可視化解析に用いていたプレイナーメンブレン法により、c-CblおよびCbl-bが形成するマイクロクラスターの可視化に成功した。各分子のドメイン欠損変異体を用いた機能解析も進んでいる。c-CblおよびCbl-bのエフェクター分子であるユビキチンのイメージングにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
c-CblおよびCbl-b欠損マウスを用いたLoss of functionの実験を進め、イメージング解析と生物学的生理反応との相関関係を検討、E3ユビキチンリガーゼがマイクロクラスターに集積することにへの生理的意義を検討する。ユビキチンのTCRマイクロクラスターへの集積が、ユビキチンの持つ多様な機能の何に相当するか、変異型ユビキチン、cCblおよびCbl-bの変異体、上記遺伝子欠損マウスを用いて検討を行う。
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Research Products
(17 results)