2011 Fiscal Year Annual Research Report
トランスゴルジネットワークにおけるロドプシンの選別機構
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
23113712
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 明子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (30529037)
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Keywords | ロドプシン / GPI生合成 / 視細胞 / 選別 / トランスゴルジネットワーク / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
視細胞は、頂端面の一端が増幅した光受容膜・その周辺のストーク膜・側底面膜・軸索とシナプスという少なくとも4つの異なる細胞膜区画を持つ。ロドプシンは、このうちの光受容膜に特異的に輸送される。本目的では、この特異的輸送の分子機構の解明を目指している。先の2年の公募研究の期間の間に、ロドプシンの輸送に関与する分子のスクリーニングを行い、GPIのタンパク質への付加に関与する遺伝子PIGを同定した。更に、その解析結果より、申請者等は、"トランスゴルジネットワークにおけるラフト依存的なロドプシンの選別"が行われるという仮説(ラフト仮説)を立てた。23年度の研究はトランスネットワークにおけるロドプシンの選別におけるラフトの役割について検討することである。 ロドプシンがラフトにより選別されるならば、ロドプシンはラフトと関連のある構造とされているDetergent resistant membrane(DRM)と相互作用していることが期待される。そこで、ロドプシンのDRMへの結合を生化学的に解析した。さらに、ラフト成分の変異体を用いてラフト形成を阻害した時のロドプシンの輸送を検討した。さらに2011年9月に発表された論文より糖脂質がロドプシン選別に関与する可能性が考えられたので、新たにこの変異体を作成しロドプシンの輸送を検討した。結果はいずれもロドプシンがラフトと相互作用すること、ロドプシン輸送に糖脂質が必要であることを否定する結果であった。従ってロドプシン輸送にGPI生合成が重要であるが、GPIはラフト形成に働いてロドプシン輸送を制御するのではなく、より直接的にロドプシンの選別に関わると考えられた。この結果は、Development誌に2013年1月に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では23年度中にここまでの成果を出す予定であったが、その過程で新たな論文が発表されたために、新規の変異体を作成する必要があった。この変異体作成と解析のために実験計画は遅れ、予算の繰越を行った.その繰り越した期間延長によって、当初予定した論文発表を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、本年度はEMSによるロドプシン輸送の欠損する変異体スクリーニングを開始している。23年度の研究によりGPI生合成がロドプシン輸送に必要であるが、それがラフトの形成を制御することによってではないという結論を出した。現在は、ある種類のGPIアンカー型タンパク質がロドプシン輸送に直接関与すると考えており、この分子を同定することが今後の課題である。 そのために行うことは、MSによるロドプシン輸送の欠損する変異体スクリーニングであるので、研究計画は変更せずに、推進することが重要である。
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Research Products
(3 results)