2011 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ膜融合・膜分裂を制御する分子マシナリー
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
23113718
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三間 穣治 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任准教授 (30335301)
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Keywords | 蛋白質 / 脂質 |
Research Abstract |
酵母から高等動物・ヒトに至る全ての真核生物は、多様な機能と形態を持つ細胞小器官「オルガネラ」をその細胞内に有する。各オルガネラは、細胞周期や細胞外環境などの生育状態に応じて、その形態つまりは「オルガネラ膜」をダイナミックに変化させるが、この「細胞内オルガネラ膜ダイナミクス」は、個々のオルガネラ固有の生命機能とも密接に相関し、細胞の生命活動の根幹を担う現象である。例えば、細胞内小胞輸送・メンブレントラフィック、オルガネラ継承、シナプス神経伝達、ホルモン分泌、エンドサイトーシス、そしてオートファジーなども細胞内オルガネラ膜ダイナミクスの一つである。 本研究課題では、「細胞内オルガネラ膜ダイナミクス」における2つの必須かつ根源的な生体反応である、(1)膜融合と(2)膜出芽・分裂、これら二つの反応の細胞内動作原理を分子レベルで統合的に理解することに挑戦している。実験アプローチとしては、従来の「生きた細胞」を用いた遺伝学・細胞生物学的手法や、「細胞より単離したオルガネラ」を用いる生化学的手法ではなく、戦略的に「精製・純化した生体膜構成要素(膜タンパク質・脂質)」から人工的に機能的なオルガネラ膜を構築する「試験管内"完全"再構成系」を中心に据えている。 平成23年度では、膜融合の中心因子であるSNAREタンパク質に焦点を当て、SNAREが担う膜融合におけるコンパートメント特異性の制御機構を解析した。再構成プロテオリポソーム膜融合アッセイおよび、GSTプルダウンによるタンパク質結合アッセイにより、Qabc-SNARE複合体の適切な組合せの重要性を明らかにし、その成果は原著論文に発表した(Izawa, Onoue, Furukawa, & Mima, 2012, J. Biol. Chem.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、出芽酵母エンドソーム・リソソーム(液胞)系膜交通に関与するタンパク質因子群について、それらの大量発現・精製のための実験系の確立が順調に進展している。また、SNAREタンパク質群については、再構成プロテオリポソーム調製と膜融合アッセイ等を行い、多くの機能解析データが蓄積している。
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Strategy for Future Research Activity |
オルガネラ膜融合の分子機構に関わる研究プロジェクトについては、既存のSNAREタンパク質群に加えて、今後はSNAREシャペロンおよびテザリング複合体を含めた、より細胞内の生理的環境に近づく再構成系の構築を目標とする。オルガネラ膜出芽・分裂の理解を目指すプロジェクトにおいては、平成23年度から継続して、膜出芽のタンパク質因子群の大量発現・精製系の確立を中心に、実験の材料・物質的基盤の整備を最重要課題とする。また、膜動態(融合、出芽・分裂)を定量的に解析する新規アッセイ法の開発にも重点的に取り組む。
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