2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内物流のための画像情報学の展開―大規模自動定量化と知識獲得
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
23113722
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 誠一 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (70315125)
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Keywords | 細胞内画像処理 / 細胞内ロジスティクス / ライブセルイメージング / 物体検出 / 物体追跡 |
Research Abstract |
本研究課題では,細胞内観察画像を対象とした新たな画像情報学の展開を目的としている.この目的のためにH23年度は,神経細胞内のAPP-GFP輸送の蛍光顕微鏡画像を第一の対象として,準備としての「細胞内観察画像の撮影および正解付け」,および「画質改善」「粒状物質の検出」「粒状物質の追跡」の3技術研究開発を行った.以下,3つの技術開発についてそれぞれ成果を述べる. 第一の「画質改善」の目的は,蛍光顕微鏡画像特有の背景雑音の除去である.これについて,メディアンフィルタおよび時空間メディアンフィルタの2つについて,それらの性質を比較しながら,最終的には前者を用いて雑音除去を実装した.さらにその過程において判明した画像全体の輝度値変化について,大局的最適化に基づく補正法を実装した. 第二の「粒状物質の検出」の目的は,ビデオの各フレーム画像(すなわち静止画)における粒状物質の検出である.これについてH23年度は,1-class SVMの導入による多様な背景変動を考慮した人工知能型検出手法の実装および評価実験,ならびに分離度フィルタを用いた信号処理型検出手法の実装および評価実験を行った. 第三の「粒状物質の追跡」の目的は,各粒状物質の各時刻での位置を自動追跡である.同一の見えを持つ大量の粒状物質を追跡するので,頑健で安定した手法が必要とされた.そこで,動的計画法を用いた多対象同時追跡手法(多次元キューブサーチ法)を新たに開発した. 以上の手法を組み合わせ,準備した正解つきAPP-GFP輸送画像を対象として,手法精度の定量的評価を行った.その結果,人間の目視によって検出および追跡を行った場合に近い精度での追跡が可能であることがわかった.具体的には検出成功率は80%,追跡成功率は75%であった.さらに,成功結果から求めた粒状物質の速度分布は,目視によるそれと同一形状であった.以上より,本手法による細胞内輸送観察が,人間の目視に代替しうる精度を持つことが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画質改善,粒状物質検出,粒状物質追跡について,すべて手法開発を行った.さらに,これらの手法を統合し,実際の顕微鏡画像を用いて性能評価まで行った.またその評価実験のために,生物系研究者と共同で正解ラベル付きの動画像も作成した.以上により,平成23年度に計画されていたことがすべて履行されており,したがって上記のとおりの達成度と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究実施により,神経細胞内のAPP-GFP輸送画像について,画質改善,粒状物質の検出,粒状物質の追跡の手法を開発し,それらを用いることで,人間の目視による精度に近いレベルの結果が得られることを実証した.今年度は,その精度をさらに高めるための改良を行う.さらに,当初計画どおり,その追跡結果から,目視ではわからなかった生物学的事実が発見される可能性について,生物学者の協力の下,様々な角度から解析を進める.
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 細胞内粒子の追跡2011
Author(s)
藤崎顕彰, 青木健太, ヤオカイ フォン, 内田誠一, 荒関雅彦, 齋藤有紀, 鈴木利治
Organizer
電気関係学会九州支部連合大会
Place of Presentation
佐賀大学,佐賀市
Year and Date
2011-09-27
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