2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の最終分化過程と樹状突起成熟における細胞内ロジスティクス制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Intracellular logistics: interdisciplinary approaches to pathophysiology of membrane traffic |
Project/Area Number |
23113725
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川内 健史 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (60397544)
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Keywords | 脳・神経 / 細胞内ロジスティクス / メンブレントラフィック / 大脳皮質 / 神経細胞移動 |
Research Abstract |
細胞表面の膜タンパク質は、複雑かつ多様な細胞内メンブレントラフィック経路のいずれかを選択して適切に輸送されるが、この経路選択の機構は未解明な点が多く、さらにこのような細胞内ロジスティクスの生理的な役割についてもほとんど分かっていない。これまでに我々は、簡便に個体への遺伝子導入を行える子宮内エレクトロポレーション法などを用いて、大脳皮質形成における神経細胞の長距離移動(ロコモーション様式の移動)には、Rab5依存性のエンドサイトーシスとそれに続くRab11依存性リサイクリング経路によるN-カドヘリンの適切な輸送が必要であることを示した(Neuron,2010)。さらに、移動の最終過程では、リソソーム系分解経路の必要性が亢進し、N-カドヘリンの分解が促進されることも報告したが、神経成熟の最終段階においてN-カドヘリンの細胞内運命が「リサイクリング経路」から「分解経路」へと変換するメカニズムは不明である。本研究では、まず、細胞内輸送経路の入り口のひとつであるエンドサイトーシスの制御因子に着目をしてin vivoスクリーニングを行った。その結果、Rab5のファミリー分子のひとつの機能抑制により、ロコモーション移動や軸索の伸長にはほとんど影響を与えることなく、移動の最終段階が阻害されることが分かった。このことから、多段階の移動において、エンドサイトーシスの制御因子が変換されることが示唆された。しかし、この表現型は、リソソーム系分解経路を阻害した場合と比較して、ややマイルドであった。これがノックダウン効率の問題なのか、リソソーム系分解経路が働いた後に起こる現象が阻害された結果なのかについて、輸送される分子の特定などを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は「in vivo RNA干渉法」を用いた個体レベルの(すなわち時間のかかる)スクリーニングを中心としていることから、よい候補分子がどの段階で得られるかどうかが鍵となっていたが、すでに移動の最終段階に主要な表現型を示す分子がいくつか見つかっていることから、この問題はクリアしたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、上記のスクリーニングで得られた候補分子の機能解析に重点を置いて研究を進める。スクリーニングで得られた候補分子が複数にわたるため、これらの分子関連を見出すことができれば、研究が加速度的に進む反面、これらの候補分子がまったく別の分子経路に位置する場合は、テーマが広がってしまう危険性がある。そこで、表現型が強い分子を主軸として、個々の候補分子の解析には優先順位をつけることで、焦点を絞った解析を行う予定である。
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Research Products
(13 results)