2011 Fiscal Year Annual Research Report
炎症抑制による制がんの分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
23114509
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
生田 統悟 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (00262072)
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Keywords | Ahレセプター / 大腸がん / 炎症 / サイトカイン / inflammasome / STAT |
Research Abstract |
AhRKOマウスで見られた盲腸のがんは、AhR/ASC二重ノックアウトマウス(DKO)では遅延した。ASCKOマウスではinflammasomeによる成熟型IL-1βの産生が低下する。そこでAhRKOマウスにIL-1β産生に必要なCaspase-1の阻害剤(YVAD)を投与し、制がん効果を検討した。 5週齢AhRKOマウスに10mg/kgYVADを週に一回腹腔投与し、19週齢で解剖して溶媒のみを投与したAhRKOマウスと腫瘍形成を比較した。その結果、腫瘍の大きさと悪性度はYVAD投与群で有意に低下した。さらに炎症やがんに関連するシグナル分子について検討した。がんができる前の8週齢の盲腸組織溶解液を用いてSTAT分子種についてimmunoblotで解析した結果、STAT3が特異的にリン酸化(pSTAT3[Y705])されることがわかった。WTおよびDKOではこのリン酸化は低かった。また、AhRKOマウスの小腸、盲腸、大腸で比較すると、盲腸においてpSTAT3[Y705]は最も高く検出された。8週齢AhRKOマウスの盲腸組織では、pSTAT3[Y705]陽性細胞は間質に認められ、CD45陽性細胞と部分的に一致した。腫瘍組織においては、間質および上皮にpSTAT3[Y705]陽性細胞を認めた。 AhRKOマウスの発がんとSTAT3活性化にみられた相関性より、STAT3がこの発がんに関わる可能性を検討するため、STAT3のリン酸化阻害剤であるAG490をAhRKOマウスに腹腔投与して腫瘍形成を検討した。溶媒のみの投与群に比較して、腫瘍の大きさおよび悪性度は有意に低下した。 これらより、AhRKOマウスにみられる盲腸の発がんには、inflammasome活性化を介したIL-1β産生の亢進とSTAT3活性化が関わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織の経時変化を見るためのsamplingがまだできていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
生後からがんが生じるまでの盲腸組織を経時的に採取し、組織の変化を分子レベルで、また組織のレベルで解析する。
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