2011 Fiscal Year Annual Research Report
EBV感染がん細胞増殖を促進するウイルス遺伝子発現の分子機構とその制御
Publicly Offered Research
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
23114512
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
鶴見 達也 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 部長 (90172072)
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Keywords | ウイルス / EBV / 癌遺伝子 / 転写 / JDP2 / C/EBP |
Research Abstract |
本研究では(1)LMP遺伝子発現調節機構と(2)EBV潜伏感染からの再活性化の分子機構の解明を目的としている. (1)潜伏感染LMP1遺伝子の発現を調節する因子の同定:LMP1遺伝子の転写を制御する宿主因子を網羅的に同定するために、cDNA発現ライブラリーを用いたスクリーニングを遂行し、LMP1プロモーターを活性化する宿主因子の探索を行った。これまでに2万個以上のクローンを精査した結果、新規転写因子としてC/EBPεを同定した。C/EBPα,β,γ,ε,ζのうちC/EBPα,β,εが特に強力にLMP1プロモーターを活性化することを明らかにした。また、LMP1には近位(ED-L1)、遠位(TR-L1)の二つのプロモーターが存在するが、近位のプロモーター上の特定部位にC/EBPが結合することで近位と遠位の両プロモーターを活性化することが分かった。C/EBP結合部位に変異を加えた組換えウイルスではLMP1の発現量が減少し、さらに、shRNAを用いてC/EBPをノックダウンさせると、LMP1タンパク質の発現量が減少することが分かった。 LMP1の発現を制御する薬剤探索ではHSP90の阻害剤がLMP1の発現を減少させることを見いだした。 (2)EBV潜伏感染からの再活性化に関与する転写因子の同定:潜伏感染からウイルス産生感染への切替えに必須なBZLF1遺伝子の転写を制御する宿主因子を網羅的に同定するために、cDNA発現ライブラリーを用いたスクリーニングを遂行した。その中でb-Zip型転写抑制因子c-Jun dimerization protein 2(JDP2)が、BZLF1プロモーターに結合し、BZLF1の転写を抑制することでウイルスの再活性化を抑制し、潜伏感染の維持に貢献していることを見いだした。JDP2を過剰発現するとEBウイルス再活性化は抑制され、逆にsiRNAによりJDP2をノックダウンすると再活性化が促進された。JDP2はBZLF1プロモーター上のZIIと呼ばれるシスエレメントに結合し、ヒストン脱アセチル化酵素のひとつであるHDAC3をプロモーター上にリクルートすることでBZLF1の発現を抑制していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LMP1及びBZLF1の発現調節を行う新規の転写因子を同定し、その解析を遂行し、publishすることができ、おおむね目的を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
LMP1プロモーター及びBZLF1プロモーター上にあるこれまで報告のある転写調節因子の結合部位に変異を導入した組替えウイルスを作成し、感染のレベルで表現系がどのように変わるのかを検討する。
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