2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体デバイスを用いたクロマチンファイバーの個別操作・動態解明
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
23114704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小穴 英廣 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20314172)
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Keywords | ゲノム / バイオテクノロジー / ナノバイオ / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
本研究課題においては、蛍光顕微鏡下、溶液組成制御が可能なマイクロ流路チャンバー内で、分裂酵母スフェロプラストから単離した全長100μmを超える長大なクロマチンファイバーをインタクトな状態で個別操作し、周囲の溶液環境変化に応答したクロマチンファイバー高次構造変化を逐次的に調べることで、階層的な高次構造間の動態を、ファイバーに沿った空間的位置情報も含めて明らかにすることを目的としている。そしてこの目的達成のため、マイクロ流体デバイスの設計・開発から行い、汎用的な研究手段の一つに発展させることも視野に入れて研究をおこなっている。本年度は、蛍光顕微鏡下・マイクロ流路チャンバー内で分裂酵母スフェロプラストを光ピンセットで個別操作し、クロマチンファイバーを断片化させずに単離・固定する技術を構築してきた。この技術においては、単離したクロマチンファイバーを、マイクロ流路チャンバー内に設置したマイクロ構造体へ、基板から浮かせた状態で懸架・固定することが実現されている。したがって、周囲の溶液条件を変えた場合にクロマチンファイバーに引き起こされる高次構造変化を、基板の影響を排除した条件の下で調べることが可能となっている。また、クロマチンファイバーのマイクロ構造体への固定法として、静電的相互作用の他に、クロマチンファイバー上のタンパクに対する抗体をマイクロビーズ表面に修飾することによる固定についても検討を行った。その結果、クロマチンファイバーと、マイクロビーズに修飾した抗体の特異的相互作用により、クロマチンファイバーをマイクロビーズで捕捉し、光ピンセット操作可能であることが確かめられた。これと共に、マイクロ流路内でのゲノムDNAの高次構造転移に付いての知見を論文に纏め、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一個の細胞から単離したクロマチンファイバーを、微細構造体を配置したマイクロ流体チャンバー内に展開・固定することができている。このチャンバー内での微細操作による展開・固定方法として、抗体を用いた手法の有効性を示すこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、抗体を用いた固定法についても更に検討を進め、細胞から単離した個々のクロマチンファイバー高次構造変化を逐次的に調べる手法の確立を行い、周囲の溶液条件と高次構造の相関を明らかにする計画である。また、細胞からのクロマチンファイバー単離・展開・固定に際しては、細胞膜や核膜の除去が、重要であることが明らかとなってきている。細胞膜や核膜を除去するための溶液条件についても、上記と並行して更に検討を進める。
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Research Products
(3 results)