2011 Fiscal Year Annual Research Report
挿入的クロマチン免疫沈降法によるエピジェネティック制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
23114707
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 穂高 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30302665)
|
Keywords | エピジェネティクス / 挿入的クロマチン免疫沈降法 / iChIP法 / インスレーター / Pax5 / B細胞分化 / 遺伝子座特異的生化学的エピジェネティクス |
Research Abstract |
1.インスレーター結合蛋白の網羅的同定とその機能解析 iChIP法と質量分析法・RT-PCR法を組み合わせることにより、ニワトリβ-グロビン遺伝子上流のインスレーター配列cHS4中のコア領域(cHS4 core)に結合する分子として、p68/DDX5、マトリン3といった蛋白質、及びSRA1 RNAの同定に成功した。これは、細胞内で特定ゲノム領域に結合する蛋白質・RNAを直接的に同定した世界初の画期的な成果である。また、従来、インスレーター機能の発現には、インスレーターを核膜や核マトリックスに繋ぎ止めることが重要であることが示唆されており、我々が得た結果から、マトリン3は、インスレーターを核マトリックスに結合させることによって、インスレーター機能を発現させる可能性が示唆された。 2.Pax5発現調節機構の解明 iChIP法を用いて、B細胞分化の主要分化制御転写因子であるPax5遺伝子の発現誘導・維持機構を解明するために、ジーンターゲティング法を用いて、トリの成熟B細胞株DT40のPax5遺伝子の転写開始点近傍に最近のDNA結合蛋白質であるLexA蛋白質の結合配列を挿入した細胞株を作製した。さらに、この細胞にタグ付きLexA DNA結合ドメインを発現させた細胞株を樹立した。加えて、陰性対照細胞として、DT40細胞をB細胞から脱分化・trans-differentiateさせた細胞を樹立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.インスレーター結合蛋白の機能解析では、既に新規インスレーター蛋白の同定に成功し、その機能解析を進めている。 2.Pax5発現調節機構では、既にiChIP用細胞株の樹立を終え、iChlP解析に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.インスレーター結合分子の同定とその機能解析に関しては、より多く(1,200コピー)のcHS4-coreを持つ細胞を樹立している。また、免疫沈降の効率が従来より6倍高い第二世代のタグ付きLexA DBを開発した。これらを用いて、二次元電気泳動法やSILAC(stable isotope labeling by amino acids in cell culture)といった方法と質量分析法、もしくは次世代シークエンス法を組み合わせて、インスレーター結合分子の網羅的同定を目指す。また、こうして同定した分子が、インスレーター機能に果たす役割をloss-of-function実験を用いて検討する。 2.Pax5発現調節機構の解析に関しては、樹立した細胞を用いて、iChIP解析と次世代シークエンス法もしくは質量分析法を組み合わせて、Pax5転写開始点近傍に結合している他のゲノム領域・蛋白質・RNAの網羅的な同定を行う。
|
Research Products
(6 results)