2011 Fiscal Year Annual Research Report
胚発生過程における遺伝情報場への分子輸送の時空間制御
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
23114712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安原 徳子 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (90423152)
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Keywords | 核-細胞質間分子輸送 / 初期胚発生 / importin α / 情報伝達制御 |
Research Abstract |
真核細胞の核は核膜で覆われ、核-細胞質間の物質の出入りは厳密に制御されている。そのため、真核細胞が内外の環境変化に応じて、遺伝情報に基づいた適切な反応系を働かせるには核-細胞質間分子輸送が欠かせない。これまでに、特定の蛋白質輸送受容体による核-細胞質問輸送システムが、転写因子の輸送調節を通し、細胞分化に重要な役割を果たすことを示した。一方、動物胚の発生の局面では、胚の極性の形成や組織の分化の仕組みなど、解明されていない事象が多く残されている。機能性蛋白質の輸送制御システムが、未解明の発生の仕組みの一部を担っている可能性が十分にあると考えられる。本研究では核-細胞質間蛋白質輸送システムに焦点を当て、哺乳類の発生・分化の場面での細胞核への情報伝達制御を明らかにし、遺伝情報の発現場の分子基盤に迫る。昨年度から本年度にかけて、核輸送受容体が分化を促進する特定の転写因子の核への輸送を阻害するという新規機能により、胚性幹細胞の運命決定に関与することを明らにした。核輸送受容体importinαに新たな積み荷蛋白質認識部位があり、分化を促進する転写因子を結合して核への輸送を阻害する。この輸送阻害活性により、幹細胞では不要な転写因子が核から排除され未分化状態が維持されると考えられる。このような阻害活性は積荷タンパク質の結合部位のアミノ酸配列に依存することもつかんでいる。この発見は世界初であり、細胞の運命決定のメカニズム解明に重要な知見を与える。このような機能は発生過程においても発揮されている可能性がある。このような情報をもとに、細胞分化の前後におけるimportinαの積荷分子の同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定にあった、胚発生過程におけるimportinαの積荷分子の同定が進んでいる。また当初の予定にはなかったが、importinαの新規機能を発見したことにより、さらなる研究課題を見出せたのも大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
胚発生過程におけるimportinαの積荷分子の同定を進め、特に発生に重要な役割を果たす可能性がある分子を選出する。さらに、importinαとの関係性を、輸送制御、活性制御の観点から解析する。同定された分子が多数あり、選出が難しい場合は、分化・発生に重要な役割を果たすエピジェネティクス関連因子に集中して解析を行う。また、機能未知の分子についても、積極的に解析を進める。
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