2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核の継承に重要な働きを担うセントロメアに特異的なクロマチン構造の解明
Publicly Offered Research
Project Area | The physicochemical field for genetic activities |
Project/Area Number |
23114722
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
堀 哲也 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教 (70550078)
|
Keywords | ゲノム / 細胞・組織 / 蛋白質 / セントロメア / クロマチン |
Research Abstract |
セントロメアのクロマチンを構成すると考えているCENP-AおよびCENP-T結合クロマチンの2種の主要構成要素の構造実体の解明を目指し、ニワトリDT40細胞から両クロマチンの独立精製を試みた。これまで高純度精製に成功したCENP-Aクロマチンと比較し、CENP-Tはセントロメアクロマチンの部分破壊による可溶化により、クロマチン構造から遊離しやすいことが明らかとなった。 そこで23年度は、CENP-T結合クロマチンの性質解明を目指し、試験管内再構成法および細胞生物学的解析法により以下の2点を中心に実施した。 1.試験管内再構成によるCENP-T複合体の実態解明 CENP-Tタンパク質は、試験管内再構成によりCENP-T-W-S-Xヘテロ4両体を構築し、ヒストン様構造を形成することによりDNAと結合することを明らかにした(Cell,2012)。さらにこのCENP-T複合体は、約100bpのDNAと効率よく結合することを明らかにした。 2.CENP-Tの異所局在による機能解析 CENP-TのDNA結合領域を除いたCT(1-530)とLacIの融合タンパク質を作製し、染色体の任意の場所にLacO配列を挿入したDT40細胞へ導入を行った。さらにLacO配列を挿入した染色体のセントロメアをCre-lox実験系により除去を行った。その結果、LacO配列に結合したCT(1-530)-LacIの融合タンパク質により、ほぼ正常なセントロメア機能を置換出来ることが明らかとなった。さらに、このCT(1-530)-LacIセントロメアには通常のセントロメアには必須なCCANタンパク質が存在しないことも明らかとなった。 これらの結果から、セントロメアクロマチンには位置を特定し継承する役割と、CENP-T複合体をその位置に安定にとどめる役割の2点を主に担うことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
試験管内再構成、細胞生物学的解析から、セントロメアクロマチン構造の分子レベルでの機能解明に寄与する重要な知見を得たことから、当初の計画以上に研究目標に向け進展したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
CENPT複合体-DNAおよび2量体ヌクレオソームの試験管内再構築、およびこれら複合体の光ピンセットによる結合力解析実験を行い、セントロメアクロマチン構造の実体解明を行う。
|
Research Products
(4 results)