2011 Fiscal Year Annual Research Report
発生・移動期のGABAモーダルシフト摂動による生後の大脳皮質メゾ神経回路書き換え
Publicly Offered Research
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
23115506
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
福田 敦夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50254272)
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Keywords | GAD67 / KCC2 / 塩素イオン / 細胞移動 / GABA / タウリン / 母体ストレス / 細胞発生 |
Research Abstract |
GABA細胞を標識したGAD67-GFP knock-inマウス胎仔を用いて、生理的GABAモーダルシフトへの摂動が神経回路の形成に及ぼす影響について検討した。 1.Cl^-ホメオスタシス破綻モデルの作製と細胞発生・移動の解析: GAD67-GFPK nock-inマウス胎仔脳への、子宮内電気穿孔法を用いたKCC2遺伝子の過剰発現を行うと蛋白は発現しても機能せず、リン酸化部位に変異を導入すると機能した。電気生理的測定による発現細胞の[Cl^-]_iは低下しており、移動は障害され脳室下帯-中間帯に停滞していた。これらの細胞は神経細胞に分化し、upper layerのマーカーも発現していた。この方法で外来遺伝子が発現するのは神経発生後と思われ、発生への影響はbumetanideの脳室内投与の方が適切と考えられた。 2.胎仔脳内タウリン欠乏のGABAシステムへの影響: 胎仔脳ではGABA細胞の発生より早期からタウリン含有細胞が終脳領域に出現していた。GABA_A受容体阻害剤の胎仔脳室内投与でradial移動速度が増加したが、母体タウリン合成阻害による胎仔脳タウリン欠乏でも、トニックGABA電流の減少とradial移動速度の増加がみられた。タウリンとCa^<2+>振動、トニック電流の関係はタウリン含有細胞の多いサブプレートで最も顕著であった。 3.母体拘束ストレスが胎仔脳GABAシステムに与える影響: 母体拘束ストレスを行うと、胎仔大脳皮質のニューロンの細胞外GABA濃度が増加していたが、細胞移動はradial、tangentialとも影響がなかった。皮質板細胞の発生は正常であったが、内側線条体原基でのGABA細胞の発生が減少していた。母体拘束ストレスがGABAシステムに選択的に影響していることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異KCC2遺伝子の過剰発現で[Cl^-]_iは低下し、移動も障害された。胎仔脳タウリン欠乏ではトニックGABA電流は減少しradial移動速度は増加した。また、GAD67-GFP knock-inマウスへの母体拘束ストレスがGABAシステム選択的に影響していることも明らかにできた。したがって、これらをGABAモーダルシフトへの摂動負荷モデルとして利用する目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度に確立することのできたGABAモーダルシフト摂動負荷モデルを利用して、メゾ神経回路の形成過程の変化や、成長後における機能の変化を解析し、そのメカニズムを明らかにしていく。
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Research Products
(26 results)