2011 Fiscal Year Annual Research Report
高速トラッキングによる局所神経回路の機能動態解明
Publicly Offered Research
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
23115507
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塚田 祐基 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (80580000)
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Keywords | 線虫 / 神経科学 / 自動追尾システム / 高速ステージ / カルシウムイメージング / 画像処理 / 神経突起 / 行動 |
Research Abstract |
自由に動く状態の線虫の神経活動、特に神経突起など神経細胞局所での活動を計測するために、高速電動ステージと高速カメラを用いて、高倍率下で顕微鏡視野内に細胞の局所部分を補足し、カルシウムイメージングを行う手法を開発している。本年度導入した分岐光路を用い、複数の高速カメラから同時に画像を取得し、その画像を利用して線虫を自動追尾するシステムの開発を進めた。速いフレームレートで画像を取得すると同時に、褪色を抑えながらカルシウムイメージングするため、自動追尾用画像には赤色の透過光を使用し、連続的に照射することで高速カメラの画像取得を可能にした。これとは別にカルシウムイメージングで使う励起光は独立したシャッターで制御し、短い照射時間に制限することで褪色や光毒性を抑えた。高倍率で自動追尾する場合は焦点ずれが大きな障害となるが、分岐光路からの画像に対して、焦点をそれぞれずらした3台のカメラで同時に画像取得することにより、焦点ずれを高速に検知するシステムを構築した。焦点ずれの指標は画像の分散を用い、3つのカメラから同時に取得した画像それぞれから分散を計算し、その差分を元にz軸方向へフィードバック制御を行うプログラムを作成した。対物レンズが50倍の高倍率でも安定なxy方向の追尾を実現しつつ、z軸方向には2台のカメラから取得した画像に基づいて制御をかける事に成功した。これにより、高速オートフォーカスを半自動で実装したことになり、高倍率で自由行動する線虫の局所領域を自動追尾するための基礎技術を確立した。さらに同時にカルシウムイメージングを行うことで、これまで観測できなかった、行動中の個体の、介在神経細胞での活動を計測できるようになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた分岐光路などの設備を導入することができ、それらが問題なく動作することが確認できた。また高速焦点合わせを含めて追尾システム全体の動作を確認でき、設計したシステムが実用に耐えられることが分かった。今後さらに高速焦点合わせソフトウェアの改良と、同時カルシウムイメージングを行う予定だが、技術的に大きなハードルは越えたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、23年度に開発したシステムを基に高速トラッキングをしながらカルシウムイメージングを実施し、局所的な神経活動がどのように行動に影響しているかを調べる。このために、これまで開発した自動焦点合わせシステムをさらに改良することと、高速トラッキング中に安定してカルシウムイメージングができるようにシステムや実験計画の改良を行う。目的としている介在ニューロンであるAIYでのイメージングが難しければ、同じように神経突起でのみ活動するRIA介在ニューロンなどでもカルシウムイメージングを試す。これらのニューロンは神経突起の形態や位置が異なるので、一種類のニューロンで画像取得が難しい場合でも、他のニューロンでは比較的簡単に画像取得できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)