2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質聴覚野機能単位のメゾ回路基盤に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
23115516
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宋 文杰 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (90216573)
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Keywords | 聴覚皮質 / 等周波数帯 |
Research Abstract |
本研究代表者らの研究により、モルモット一次聴覚野において純音に応答する等周波数帯が機能単位であることが示唆されている。等周波数帯において神経活動が自律的に伝播し、それが聴覚野における周波数の並列表現に役立つと考えられる。本研究では、等周波数帯における活動の自律伝播を支える神経回路の解明を目指す。即ち、光生理学による皮質の特定種類の細胞の活動を操作し、電気生理学などの方法により、聴覚野機能単位のメゾ回路を解明する。光刺激を行うために、チャネルロドプシン2を導入する必要があるが、モルモットでは困難であることが分かって、実験系をマウスに移行した。光イメージング法を用いてマウスの一次聴覚野を調べたところ、局所刺激によって活動が空間的に異方性をもって伝播することを観測した。従って、マウス聴覚皮質においても活動の自律伝搬を支える回路の存在が明らかとなった。チャネルロドプシン2を皮質ニューロンに導入するためのウイルスベクターを、小林和人博士と加藤成樹博士のご支援のもとに作製した。これらのウイルスを大脳皮質に注入し、チャネルロドプシン2の導入を開始した。同時に、in uteroエレクトロポレーション法を用いた遺伝子導入法も検討し、側頭皮質に位置する聴覚皮質にも導入できることが分かった。また、エレクトロポレーション法で導入した遺伝子が成熟動物でも発現が維持されていることも確認できた。従って、光生理学で皮質回路を調べる準備が整えた。一方、マウス皮質一次聴覚野を同定する過程で、これまでに報告がない聴覚領野を見出した。この領野は、組織学的な検討より島皮質内に位置することが示唆され、トノトピーを示す一方、低周波の音により広い皮質面積で反応を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、メゾ回路に関する知見が蓄積していないが、それを調べるための準備を整えた。また、当初予期していなかった新規な皮質領野を発見した(論文1件目)。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子導入方法を確立してきたため、今後、それを用いて皮質機能単位の回路基盤を解明するとともに、新規に同定した領野の構造と機能の解析も進める。
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