2011 Fiscal Year Annual Research Report
方向選択性網膜神経節細胞の方向選択性決定機構
Publicly Offered Research
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
23115518
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
作田 拓 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 助教 (40343743)
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Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 網膜神経節細胞 / サブタイプ |
Research Abstract |
光情報は、光受容細胞によって電気信号に変換され、網膜介在ニューロンにより処理されて光強度の増加や減少、色、物体の動きなどの視覚特性に分解されたのち、それぞれ異なる網膜神経節細胞のサブタイプにより脳の特定の部位へと送られる。しかしながら、それぞれのサブタイプを簡便に判別する方法がこれまでになかったため、光情報を処理する回路形成機構は、ほとんど分かっていないのが現状である。申請者らは、網膜における領域特異的分子の単離とその機能解析を行う過程で、世界に先駆けて、網膜神経節細胞サブタイプ特異的に発現する分子SPIGIを発見した。さらにSPIG1-EGFPノックインマウスの副視覚系内側核を逆行性トレーサーでラベルすることにより、2種類のサブタイプ(上方向と下方向の方向選択性網膜神経節細胞)を可視化することに成功した。本研究は、この成果を発展させ、方向選択性網膜神経節細胞の方向選択性を担う局所回路の形成過程を明らかにすると共に、その分子基盤を明らかにすることを目的とする。本年度は、上下方向の方向選択性網膜神経節細胞サブタイプを単離し、次世代シーケンサーSOLiDによるWhole transcriptome解析により、サブタイプ特異的に発現する遺伝子の同定を試みた。Whole transcriptome解析の結果から、複数のサブタイプ特異的遺伝子の候補を抽出し、これらの発現パターンの検証を行った。その結果、未だ検証作業の途上ではあるものの、サブタイプ特異的発現パターンを示すものや2つのサブタイプに共通して発現するものを見出した。また、上下方向の方向選択性網膜神経節細胞サブタイプに入力するスターバーストアマクリン細胞をラベルし、採取するための条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同定したサブタイプ特異的遺伝子の候補について、その発現パターンの検証に思いの外時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
サブタイプ特異的遺伝子の候補の発現パターンの検証における大きな問題点は、通常のin situハイブリダイゼーションや免疫染色法によって網膜内での発現を検出できないものが多数あったということである。このため多くの候補遺伝子が、実際にサブタイプ特異的に発現しているかどうか検証できていない。今後は、検出感度を上げるために、いくつかの増感法を試みる予定である。また同定済みのサブタイプ特異的遺伝子については、ノックアウトマウスの作製を行い、その機能解析を行う。
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Research Products
(1 results)