2011 Fiscal Year Annual Research Report
集団発火時系列に対する情報量解析を用いた大脳皮質情報処理機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
23115524
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹川 高志 独立行政法人理化学研究所, 脳回路機能理論研究チーム, 研究員 (50415220)
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Keywords | 符号化・復号化 / 情報量解析 / 発火率 / 高次相関 / 神経細胞集団 |
Research Abstract |
様々な運動や知覚に対して個々の神経細胞がどのように反応するか,あるいはどのような部位の活動が上昇するかなど脳の活動のミクロおよびマクロな性質は詳細に研究されている.一方,脳内では多数の神経細胞の集団活動によって情報が表現されていると考えているにもかかわらず,数百個レベルの集団発火時系列がどのように情報を表現しているかは,未だに明らかにされてはいない.本研究では,どのような復号化を行えば神経細胞のあるいはネットワークの発火時系列の情報量が最大となるかを解析する手法を提案し,脳部位や神経細胞ごとに異なると予想される符号化方法の違いを詳細に解析する.また,それらの神経細胞の集団が集団としてどのように情報表現しているかを,冗長性や高次相関に含まれる情報を解析することにより明らかにする. 本年度は,発火時系列の持つ情報量を定量的に評価しどのように復号化すれば情報量が最大の信号が得られるかを解析する手法を開発した.具体的には,適切な規格化を行ったカーネルと呼ばれる類似度関数を定義し,パラメータを変えながらカーネル主成分分析を発火時系列に適用することにより,評価関数(情報量)を最大化するようにパラメータ探索を行った.評価関数として,教師信号と主成分の内積の和を用い,教師信号と相関が高い成分の分散が大きくなるように設定した.この評価関数を用いると,計算量の多い固有値分解を避けることができ,神経細胞集団の情報量が個々の神経細胞の情報量の線形和として計算できるなど様々な利点がある.この手法を用いて,ラット運動野の浅層と深層で情報処理様式が異なることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析手法を確定させ,実験データへ適用し,その有用性を確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
様々な実験データを用いて,脳部位や発火率の違いなどにより,神経細胞の符号化がどのように異なるのかを詳細に解析する.続けて複数の神経細胞が同時に活動することの機能的な意味として予想される情報の冗長化や高次相関による情報表現などについて解析を行う.
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