2011 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ求愛行動をモデルとした行動進化の神経基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
23115702
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小金澤 雅之 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10302085)
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Keywords | 脳・神経 / 求愛行動 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
1.D. melanogasterを使ったfru発現神経回路の機能解析 fru発現神経神経回路に温度感受性チャンネルdTrpA1を発現し高温条件下で当該神経回路を強制的に興奮させると、雌が存在しなくとも雄型の求愛行動が誘起できる。このシステムを利用し、MARCM法によりfru発現細胞のうち少数の細胞のみ強制活性化したモザイク個体を作出し、その行動解析を行った。Kohatsu and Koganezawa et al., 2011で報告した脳内のP1,P2bと名付けられたニューロン群の他に、胸部神経節内に存在するvPR6と名付けられたニューロン群も求愛行動の解発に重要であることを見出した。 2.他種ショウジョウバエのfru遺伝子制御配列のクローニングとfru発現神経回路の解析 D. melanogasterとは異なった特徴的な求愛行動を示す同属別種のD. subobscuraを対象とした。D. subobscuraのゲノム配列は解読されていないため、他種の配列情報を元にPCRを行いfru遺伝子の5'側推定調節領域約31kbをクローニングした。この配列とGal4コード配列とを融合させ、D. melanogasterに導入することによりトランスジェニック系統(sub fru-Gal4系統)を確立した。sub fru-Gal4にドライブされたレポーター発現と抗Fru抗体によるD. melanogaster本来のFru蛋白質の発現の比較を行い、一部のsub fru-Gal4発現細胞はFru蛋白質を発現しているものの、大部分はFru蛋白質を発現していないことを明らかとした。一方でsub fru-Gal4発現細胞にdTrpA1を異所的に発現し、高温条件下でこれらの細胞群を強制活性化したところ、D. subobscura本来の求愛行動で特徴的な両羽展開や強い吻伸展が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
D. melanogasterのfru発現神経回路の解析では、求愛行動の解発に重要な神経細胞群を新たに同定することが出来た。また、D. subobscuraを用いた実験では、fru推定調節領域のクローニングに成功し、この配列を利用したトランスジェニック系統の確立が出来た。この系統を用いて解剖学的解析および行動学的解析を行い一定の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
D. melanogasterの求愛行動を制御する神経回路の解析では、fru遺伝子に加え、もう一つの性決定遺伝子であるdoublesexについてもその神経系での機能を解析する。また、D. subobscuraを用いた実験では、sub fru-Gal4系統を用いてdTrpA1を発現させる事による強制的行動誘起を詳しく解析する。ショウジョウバエの遺伝学的技術であるintersectional approachを採ることにより、sub fru-Gal4発現細胞をD. melanogaster本来のFru蛋白質発現細胞とそれ以外の細胞に分けて解析をする。さらにモザイク法を併用することにより、誘起出来たD. subobscura様の行動の原因となっているニューロン群を同定する。
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Research Products
(13 results)