2011 Fiscal Year Annual Research Report
C. elegansにおけるCREB依存的なアセチルコリンシグナル制御の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
23115705
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周防 諭 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20596845)
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Keywords | ドーパミン / オクトパミン / C. elegans / アセチルコリン / ニューロン / CREB |
Research Abstract |
我々はこれまで線虫C.elegansにおいて餌依存的に制御される神経回路を解析しており、アミン神経伝達物質であるドーパミンとオクトパミンによるシグナル伝達が餌に依存した制御を受けることによって、SIAと呼ばれるニューロンで転写因子CREBの活性化が制御されていることを明らかにしている。本研究ではこのCREBの下流で働く分子・神経回路を明らかにすることを目的としている。予備的実験によってCREBがアセチルコリンシグナルを制御していることが示唆されていたが、23年度に実施した研究でこのメカニズムが正しいことが確認された。さらに、アセチルコリン受容体の変異体を解析し、神経細胞で働くタイプのアセチルコリン受容体がCREBによるアセチルコリンシグナルの制御に関与していることを明らかにした。 CREBはアセチルコリンシグナルの制御以外の作用を持つ可能性があり、CREB依存的な神経制御のより深い理解のためには、そのような作用を見つけ出し解析することが重要であると考えらえる。そこで、ドーパミン欠損株で見られる表現型の中でCREBに依存するものを探索した。 その結果、初めにドーパミン欠損株は野生型に比べて約9%体長が増加することから、ドーパミンは通常体長を抑制していることが明らかになった。CREB遺伝子に変異があるときにはこのようなドーパミンの効果は観察されなかったことから、線虫個体の体の大きさの制御はアセチルコリンシグナルの制御と同様に、ドーパミンがCREBを制御することによって引き起こされていることが明らかになった。この制御のより詳細なメカニズムを検討しており、このシグナルは既に体長を制御することが報告されているTGFβシグナルには依然せず、オクトパミンシグナルに依存することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度に終了を予定していた細胞特異的レスキュー実験は現在進行中であるが、24年度に予定していたアセチルコリン受容体変異体の解析が既に一部完了しており、CREB依存的な体長の制御という予想していなかった発見もあったので、総合的に順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞特異的レスキュー実験を継続して行うとともに、アセチルコリン受容体変異体の解析など計画通り研究を遂行していく。さらに体長の制御も非常に興味深い事象であるので、より詳細なメカニズムの解析を行っていく。
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Research Products
(7 results)