2011 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の神経回路の光操作から探る感覚と記憶に関わる神経の暗号
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
23115707
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
久原 篤 甲南大学, 理工学部, 講師 (00402412)
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Keywords | C. elegans / 温度応答 / 光駆動性チャネル / カルシウムイメージング / 神経回路 / 神経伝達 / シナプス |
Research Abstract |
本研究では、線虫の温度応答に関わるシンプルな神経回路を実験系として(Kuhara et al.,Science,2008)、最新の光駆動性チャネルによる神経活動の操作技術を導入することで、神経情報処理の新概念の創出をめざした。具体的には、(1)行動時や、(2)記憶時の特定の時間において神経回路活動を操作することにより、行動や記憶に関わる生理的暗号を明らかにすることを目的とした。本研究は、光駆動性チャネルの利点である、意図した「場所」と「時間」で神経活動を制御するだけでなく、従来忘れがちになっている「意図した強さ」でという3つめの利点を生かし、回路活動の細かな変化により引き起こされる神経の暗号を明らかにした。具体的には、光駆動性チャネルをつかい温度受容ニューロンAFDの神経活動を操作し、同時に温度応答に関わる温度受容ニューロンAFDと、その下流の介在ニューロンAIYの温度刺激に対する細胞内のカルシウムや膜電位の変化を、それぞれのインディケーターであるカメレオンとマーメードで測定した。その結果、温度受容ニューロンAFDから介在ニューロンAIYへの興奮性と抑制性の神経伝達に関わる新規の生理的なコードを明らかにした(Kuhara et al.,Nature commun,2011)。この研究は、シンプルなモデル動物をつかうことで可能であった先進的な研究であり、本研究から得られる成果は、感覚情報処理から記憶にいたる多くの分野の研究に、インパクトを与えることと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光駆動性チャネルをつかい温度受容ニューロンAFDの神経活動を操作し、神経伝達に関わる新規の生理的なコードが明らかになり、論文として公表することができたため(Kuhara et al.,Nature commun,2011)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、線虫が飼育されているインキュベーター内で、一定の温度化で飼育されている際に光駆動性チャネルをつかい、温度記憶をおこなう温度受容ニューロンAFDの神経活動を操作し、記憶のリモートコントロールをおこなう。また、記憶学習に関わる遺伝子の変異体の解析も行なう。
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[Journal Article] Novel and conserved protein TTX-8/Macoilin is required for diverse neuronal functions in C.elegans2011
Author(s)
Miyara, A., Ohta, A., Okochi, Y., Tsukada, Y., Kuhara, A., Mori, I.
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Journal Title
PLoS Genetics
Volume: 7(5)
Pages: 1-14
DOI
Peer Reviewed
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