2011 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシン1-リン酸代謝経路の解明とシェーグレン・ラルソン症候群の原因究明
Publicly Offered Research
Project Area | Machineries of bioactive lipids in homeostasis and diseases |
Project/Area Number |
23116501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木原 章雄 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (50333620)
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Keywords | 脂質 / スフィンゴ脂質 / 生理活性脂質 / 脂質メディエーター / アルデヒドデヒドロゲナーゼ / アシルCoA合成酵素 / ノックアウトマウス / 代謝 |
Research Abstract |
1.スフィンゴシン1-リン酸(SIP)の代謝経路の解明 SIPはSIPリアーゼによりヘキサデセナール(アルデヒド)へ分解された後,パルミトイルCoAを経てグリセロリン脂質へ代謝されることが知られている。この過程には少なくともアルデヒドから脂肪酸への酸化,アシルCoAへの変換,二重結合の飽和(還元)の3反応が含まれているはずであるが,触媒酵素の同定とこれらの反応の順序は不明であった。我々は本研究課題が始まる以前に,ヘキサデセナールが脂肪族アルデヒドデヒドロゲナーゼALDH3A2によってヘキサデセン酸に変換されることを見出していた。本申請では酵母Faa1,Faa4,ヒトACSL1,3,5,6がSIP代謝過程に関与するアシルCoA合成酵素であることを明らかにした。また,酵母FAA1,FAA4遺伝子の二重欠損株を用いて放射標識されたスフィンゴシンのトレーサー実験を行なった結果,ヘキサデセン酸が代謝中間体であることも見出した。このことは,SIPの代謝がヘキサデセナール,ヘキサデセン酸,ヘキサデセノイルCoA,パルミトイルCoAと進行していることを表していた。ヘキサデセノイルCoAからパルミトイルCoAの変換にはトランスエノイルCoA還元酵素が関わると予測し,酵母TSC13の変異株を用いた解析を行なった。その結果,この変異株中でSIPのグリセロリン脂質への代謝が低下していることを見出した。 2.Aldh3A2ノックアウトマウスの解析 EMMAから入手したAldh3A2ノックアウトマウスはジーントラップによる遺伝子欠損であったため,遺伝子が完全に欠損されていない可能性があった。そこで,全身でCreリコンビナーゼを発現するマウスと掛け合わせ,完全欠損を試みた。現在ヘテロノックアウトマウスが完成し,近いうちにホモノックアウトマウスが産まれる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1に関してSIP代謝経路に関わる酵母,ヒトのアシルCoAの同定に成功し,中間体検出により経路の同定にもつながっている。また,トランスエノイル還元酵素についても酵母Tsc13の同定に成功している。2に関してホモノックアウトマウスの作成までには到らなかったが,ヘテロノックアウトマウスは産まれているので1ヶ月以内にはホモノックアウトマウスが完成する予定である。これらのことからほぼ計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
スフィンゴシン1-リン酸の代謝経路の解明については動物細胞でのノックダウン,精製タンパク質を用いたin vitroの解析等を行ない,得られた結果を検証していく。ノックアウトマウスに関してはホモノックアウトマウスが完成すれば,その表現型を解析していく。概ね研究計画通りに進行しているので,変更点はない。また,研究を遂行する上での問題点も特に見当たらない。
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Research Products
(7 results)