2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジン類およびそれらの代謝物による代謝疾患制御
Publicly Offered Research
Project Area | Machineries of bioactive lipids in homeostasis and diseases |
Project/Area Number |
23116516
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
藤森 功 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (70425453)
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Keywords | プロスタグランジン / 肥満 / 代謝物 / 代謝異常 |
Research Abstract |
代謝疾患の一つである肥満と肥満に起因して発症する糖尿病、高脂血症や動脈硬化症などの代謝疾患の制御におけるプロスタグランジン(PG)類とそれらの代謝物の機能に注目して研究を行った。 PGD_2が脂肪細胞の分化を活性化するが、その活性化機構として、PGD2受容体であるDP2受容体を介して活性化するものに加え、脂肪細胞においてΔ^<12>-PGJ_2がPGD_2の主な代謝物であることをLC-MS解析により同定し、さらにPPARγに結合することにより脂肪細胞の分化を活性化することを明らかにした。 動物を用いた解析については、L-PGDS遺伝子の脂肪組織特異的欠損マウスの作製を開始し、Jackson Laboratory社から購入した脂肪細胞特異的プロモーターであるFabp4プロモーターの下流にcrerecombinase遺伝子を結合したコンストラクト有するマウスと、作製したflox/L-PGSマウスの交配を開始し、脂肪細胞特異的にL-PGDS遺伝子を欠損するマウスを作製し解析を行っている。さらに、同様に脂肪組織特異的なプロモーターであるFabp4プロモーターにL-PGDS遺伝子を連結したコンストラクトを作製し、遺伝子改変マウスの作製を開始した。また、PGE_2合成酵素であるmPGES-1遺伝子欠損マウスを入手し、肥満制御におけるmPGES-1遺伝子の役割についての解析も開始した。 次に、脂肪細胞においてPGF_<2α>やPGE_2はCOX-2遺伝子の発現増強を伴って脂肪細胞の初期分化の進展を強力に抑制するが、分化開始3時間後にはその抑制は破綻する。その破綻メカニズムの解析を行い、現在までのところ、cAMPを介したシグナル伝達経路がCOX-2遺伝子の発現制御に関わっていること、また、cAMPにより制御される転写因子のCREBが重要であることが分かった。現在さらに詳細な検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・PGD_2に脂肪細胞分化活性化機構について解明した。 ・プロスタグランジンによる脂肪細胞の初期分化抑制の破綻機構の一部が解明できた。 ・脂肪組織特異的にL-PGDS遺伝子を欠損するマウスを作製し、解析を行っている。 ・脂肪組織特異的L-PGDS発現マウスの作製に着手した。 ・mPGES-1遺伝子欠損マウスを用いた肥満制御機構の解析に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
・遺伝子改変マウスを用いて、プロスタグランジンによる代謝疾患制御との関連の解析を推進する。 ・プロスタグランジンによる脂肪細胞の初期分化抑制の破綻機構を解明する。 ・プロスタグランジンによる代謝疾患制御における、ヒトとマウスの共通性について解析する。
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