2011 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いたスフィンゴ糖脂質によるエネルギー代謝制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Machineries of bioactive lipids in homeostasis and diseases |
Project/Area Number |
23116518
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
香山 綾子 独立行政法人理化学研究所, 神経膜機能研究チーム, 研究員 (70312270)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / グルコシルセラミド合成酵素 / エネルギー代謝制御 / 脂肪組織 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
大部分のスフィンゴ糖脂質は、グルコシルセラミド合成酵素(GlcT-1)によって、セラミドにグルコースが転移され、グルコシルセラミド(GlcCer)が合成されることによって開始される。近年、GlcT-1に対する阻害剤を肥満モデル動物に投与した実験から、スフィンゴ糖脂質の増加が、肥満などのメタボリックシンドロームの新たなリスクファクターの可能性が示唆されてきた。しかしながら、スフィンゴ糖脂質が生体内でどのような機構でエネルギー代謝制御に関わっているのかわかっていなかった。そこで、本研究では、ショウジョウバエをモデル生物に用いて、スフィンゴ糖脂質のエネルギー代謝制御における生理機能と作用機序を明らかにすることを目的に研究を行う。 まず、エネルギー貯蔵およびその制御において、最も重要な働きを担う脂肪組織(脂肪体)に焦点をあて、脂肪体おけるスフィンゴ糖脂質シグナルの同定を試みた。その結果、ショウジョウバエにおいても哺乳類と同様に、脂肪体におけるグルコシルセラミド量と貯蔵脂肪量との相関関係があることを見いだした。そこで、GlcT-1の作用機序を解析したところ、エネルギー代謝制御に関わるp38-ATF2シグナル経路の活性制御にGlcT-1発現が関与することが明らかになった(J.Lipid Res., 2011)。今後は、遺伝学手法に加えて、生化学的手法を積極的に取り入れて、GlcT-1によるエネルギー代謝制御機構の全貌を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スフィンゴ糖脂質によるエネルギー代謝制御の分子メカニズムの一端を同定し、発表することが出来たから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、スフィンゴ糖脂質によるエネルギー代謝制御機構の全貌を明らかにするために、遺伝学的手法と生化学的手法を用いて、GlcT-1発現によって制御されるシグナル分子の同定を行う予定である。
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