2011 Fiscal Year Annual Research Report
体外栄養源による配偶子幹細胞の発生進行制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
23116703
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 征光 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20422389)
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Keywords | 配偶子幹細胞 / インスリン / 線虫 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
ふ化後のC.elegans(以下、線虫)にアミノ酸とエタノールを与えると、配偶子幹細胞を含む様々な芽細胞や幹細胞が、増殖や分化などの発生現象を開始する。これまでにインスリン/IGF経路が、ふ化後の発生に関わっていることが報告されてきたが、線虫に存在する40ものインスリン様因子のどれが、どのような栄養分子に応答して、どの組織で発現して、配偶子幹細胞の増殖を促進するのか不明であった。そこでバッファーのみ、アミノ酸とエタノールの両者、あるいはどちらか一方を含むバッファー中で培養し、定量的PCRによって40のインスリン様因子の発現量を比較することによって、栄養添加によって発現誘導されるインスリン様因子を探索した。その結果、エタノールで発現誘導される複数のインスリン様因子群を同定した。次に、そのような因子群の欠失変異体にアミノ酸とエタノールを与え、一週間ほど培養し、微分干渉顕微鏡下で観察することにより、配偶子幹細胞の増殖に必須であるインスリン様因子を一つ同定した。そのインスリン様因子のプロモーターの下流にタンパク質を不安定化させるpest配列を付加したGFP(Green Fluorescent Protein)を融合させたレポーター遺伝子を作製し、それをゲノム中に挿入した線虫株を樹立した。このGFPレポーター遺伝子は、幼虫頭部の1対ないしは2対の神経細胞でのみ発現しているのが認められた。今後、GFPレポーターの栄養応答性や、発現している神経細胞を明らかにし、特定の神経に特異的なプロモーターを用いた救助実験を行うことによって、神経系による配偶子幹細胞の休眠・増殖の制御機構の一端が解明されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書には、アミノ酸と共に配偶子幹細胞を休眠解除する因子の探索を計画したが、脂肪酸を液体培地に溶解させるのが非常に困難であることが判明しため、液体培地を用いた実験系で当初の計画を遂行するのは困難であると考えた。 現在、液体培地の代わりに寒天培地を用いた実験系の確立を試みており、その実験系を用いて配偶子幹細胞を休眠解除する因子を同定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
寒天培地に様々な脂肪酸や脂質を添加し、配偶新幹細胞の増殖に関わるエタノール誘導性のインスリン様因子のGFPレポーターを形質転換した線虫を用いて、どの脂肪酸や脂質がインスリン様因子の発現を促進するか明らかにする。また、エタノール誘導性のインスリン様因子のGFPレポーターを用いて、エタノール、ないしは脂肪酸や脂質の応答に関わるプロモーター上の領域を決定し、Yeast 1 hybrid systemや順遺伝学スクリーニングによってインスリン様因子の発現制御機構を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)