2011 Fiscal Year Annual Research Report
Y染色体の精子幹細胞維持に関わる遺伝子領域の同定
Publicly Offered Research
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
23116704
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯谷 綾子 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20444523)
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Keywords | 生殖細胞 / 精子幹細胞 / Y染色体 |
Research Abstract |
ヒトの男性不妊患者において、性染色体異常やY染色体の微小欠失が知られていることからも精子形成にはY染色休上の遺伝子の関与が予測される。しかし、どの遺伝子が機能しているのかはほとんど分かっていない。本研究ではY染色体上の遺伝子をXX型性転換マウスに導入して、精子幹細胞ニッチの維持に関与するY染色体上の遺伝子・領域の同定を試みる。 我々は、研究のツールとして、既に精子になっても頭部がGFPで標識された{GBGS(Green Body Green Sperm)由来}GS細胞を樹立しているが、精子形成の分化状態をより詳細に観察できるようにミトコンドリアにDsRed2が局在し、精子頭部にGFPが局在するダブル・トランスジェニックマウス(RBGSマウス)よりGS細胞の樹立を行った。このRBGSの生殖細胞は、細胞質に点在するミトコンドリアが赤く光るものは精原細胞として、ミトコンドリアの赤だけでなく細胞質が緑に光るものは精母細胞として、アクロソームドロップの緑色蛍光シグナルが強いものは精子細胞として、さらに精子尾部のミトコンドリアが赤く光れば延長精子細胞の後期に入っていることが分かり、生殖細胞の分化状態が細胞を生かしたまま、蛍光シグナルの違いによって見分けることができる。この樹立したRBGS-GS細胞をBsulfan処理した雄マウスの精細管に移植することによって、精子形成が行われていることを観察し、GS細胞が樹立できたことを確認した。 また、セルトリ細胞特異的に発現するMiS遺伝子のプロモーターをクローニングし、セルトリ細胞でEGFPを発現するように設計したベクターを作製した。増殖中の幼若期のセルトリ細胞にリポフェクションによって導入することによって、in vitroでの遺伝子発現を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究ツールであるRBGSトランスジェニックマウスよりGS細胞の樹立に成功し、精細管内移植により正常に精子形成することが確認された。また、Y染色体上の遺伝子をセルトリ細胞に特異的に遺伝子制御できるようにMisプロモーターをクローニングし、セルトリ細胞での発現の確認に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
Y染色体上の候補遺伝子をMisプロモーター制御下でセルトリ細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製し、XX型性転換マウスを得るために、Sryとのダブルトランスジェニックマウスにする。作製したダブルトランスジェニックのXX型雄マウスの精細管内に、樹立したRBGS-GS細胞または、既に樹立済みのGBGS-GS細胞を移植し、精子幹細胞が生着するかどうか、また、精子形成が正常に行われているかどうかを観察することによって、Y染色体上の候補遺伝子の機能を解析する。
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