2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン様分子ISG15依存性タンパク質翻訳制御と自然免疫応答の関連性の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
23117501
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 文彦 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00507212)
|
Keywords | ISG15 / ユビキチン / 自然免疫 / タンパク質翻訳 |
Research Abstract |
ユビキチン様分子ISG15はインターフェロンや細菌・ウイルス感染などにより急速に発現誘導され、タンパク質の翻訳後修飾に用いられるが、その生理的役割はほとんどわかっていない。本申請課題はタンパク質翻訳制御分子eIF4E2(4EHP)とPKRに焦点を絞り、ISG15修飾の生理的役割を解析することで、ISG15修飾が初期免疫応答(自然免疫)にどのように関与するのかを明らかにする。 1. ISG15修飾を受けた4EHPによる免疫システムへの影響の解析 ISG15修飾を受けた4EHPに結合するmRNAを再同定中である。 2. PKRのISG15修飾がもたらす生理的役割の解明 PKRが生理的刺激によりISG15修飾を受けることを明らかにした。またISG15修飾を受けたPKRはウイルス由来の二本鎖RNA非存在下においても活性化を受け、標的分子であるeIF2alphaのリン酸化を引き起こすことを示した。eIF2alphaのリン酸化はキャップ構造依存的なタンパク質翻訳の抑制を意味するので、それを確認するためにキャップ構造依存的・非依存的な翻訳を定量化できるルシフェラーゼアッセイシステムを用いて定量した結果、確かにISG15修飾を受けたPKRはキャップ構造依存的なタンパク質翻訳を選択的に抑制していることを明らかにした。この結果は今まで知られていなかったPKRの新規活性化メカニズムを提唱するもので、ウイルス感染以外にもPKRの活性化機構があることを示すものである。現在投稿準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ISG15修飾を受けた4EHPに結合するmRNAの同定を試みているが、その確認作業まで至っていない。ISG15修飾を受けた4EHPと標的mRNAの結合が非常に不安定である可能性、もしくは真に標的となるmRNAがウイルス由来の可能性がある。 PKRに関する研究については予定通り進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
①マイクロアレイ解析で同定した候補遺伝子群がISG15修飾を受けた4EHPにより翻訳制御を受けていることを別の細胞株で検証したので、マイクロアレイ解析に用いた細胞株で再解析する。 ②ポリソームを回収しマイクロアレイ解析を再度行う。 PKRに関する解析は当初予定通り行う。
|