2011 Fiscal Year Annual Research Report
プライミングリン酸化反応の制御機能とその破綻による病態解明
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
23117515
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (70345312)
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Keywords | 細胞周期 / 癌 / リン酸化酵素 |
Research Abstract |
c-Junやc-Mycは細胞周期制御に必須な転写因子である。c-Junやc-Mycはプライミングリン酸化を受けると、引き続いてGSK3betaによるリン酸化が誘導され、さらにユビキチンリガーゼFBXW7がリクルートされてc-Junやc-Mycの分解を促すことが知られている。このリン酸化を起点とした分解はG1期からS期への遷移に重要であり、分解異常が発癌や癌の進展と密接に関与していることが報告されている。我々はDYRK2と呼ばれるリン酸化酵素が、c-Junやc-Mycのプライミングリン酸化を担っていることを見出した。興味深いことに、DYRK2をノックダウンするとc-JunやcMycのプライミングリン酸化が顕著に減弱し、それに伴いc-Junやc-Mycの分解異常による蓄積が観察され、G1期の顕著な短縮に伴う細胞増殖が亢進した。さらにDYRK2を恒常的にノックダウンした乳癌細胞をマウスに移植し造腫瘍効果を調べたところ、コントロール細胞と比較して、明らかな造腫瘍能の増強が観察された。次に、ヒト乳癌組織におけるDYRK2の発現を検証したところ、乳管内乳癌と比べて浸潤性乳癌ではDYRK2の顕著な発現低下が認められ、一方でc-Junやc-Mycは発現上昇しているという逆相関現象が観察された。以上より、DYRK2はDNA損傷に応答して細胞死を誘導する一方で、G1/S期の遷移を制御することで細胞周期調節にも寄与しており、発癌抑制に貢献している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていたDYRK2の基質を同定し、その機能解析を進め、論文発表できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
DYRK2の新規基質の同定を推進すると共に、プライミングリン酸化で制御されている新たな基質の同定も進めていきたい。
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Research Products
(4 results)