2011 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳後修飾による転写因子Tcf/Lefの活性制御の分子基盤と組織の維持・破綻
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
23117525
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石谷 太 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (40448428)
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Keywords | Tcf/Lef / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
Wnt-βカテニンシグナルは、初期胚発生における体軸形成だけでなく、幹細胞の運命決定制御を介して組織・器官の構築維持、そしてその破綻としての疾患発症(癌、糖尿病、精神疾患など)に深く関与している。Wnt-βカテニンシグナルの機能と制御の解明は、将来的な新たな医療技術の開発や創薬につながると期待されており、最もホットな研究課題の一つである。Wnt-βカテニンシグナルは、細胞が細胞間情報伝達分子Wntを受容することにより活性化する。Wnt-βカテニンシグナルが活性化した細胞では、転写因子Tcf/Lefが標的遺伝子の転写を誘導する。本研究では、Tcf/Lefの翻訳後修飾に注目して研究を行っている。 本年度は、Tcf/Lefファミリーの一種であるLef1のリン酸化に特に注目して研究を行った。その結果、Lef1のリン酸化が神経前駆細胞におけるLef1の活性化に必須であることを見いだした。具体的には、神経前駆細胞がWnt分子を受容すると細胞内でタンパク質リン酸化酵素NLKが活性化し、活性化したNLKがLef1をリン酸化し、Lef1のリン酸化の結果として、Lef1の活性抑制因子HDAC1がLef1から離れ、Lef1が活性化することを見いだした。また、モデル動物ゼブラフィッシュを用いた解析により、NLKによるLef1リン酸化が中脳の神経前駆細胞の増殖を促進し、正しいサイズの脳の形成に必須であることを見いだした。以上の成果はEMBO Journal誌において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lef1リン酸化の意義を解明し、EMBO journalにおいて発表することができたため。また、Tcf/Lef活性を可視化したゼブラフィッシュを用いた「Tcf/Lef修飾の意義の解明」も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Tcf/Lef活性を可視化したゼブラフィッシュを用い、Lef1リン酸化以外のTcf/Lef修飾の意義の解析を進める。また、ゼブラフィッシュを使った解析と生化学的解析を効果的に組み合わせ、Tcf/Lef修飾の制御機構を明らかにする。
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Research Products
(6 results)